第472話 天罰
「ありがとうハルカちゃん!行ってくるわね!」
「トリックちゃんを何とかしてきます!」
「...はい。ご武運を...。」
少しだけ青い顔で見送ってくれたハルカちゃんに別れを告げ、私たちは空島に来る時に使った土製の箱に乗る。
「メル、頼んでもいい?」
「うん!《ウィンドブラスト》」
スカーレットが寝ている今、さすがに頼れない。メルには大変だろうけど地上に降りるまで頑張って欲しい。
メルの魔法で箱の底に風をぶつけてゆっくり降りていく。登る時にはもっと魔力がいるため空島に登る時に頼まなかったのはそのためだ。
「はいメル。これ飲んで?」
「ちょ、ちょっと待ってね〜...。」
「うーん...飲ませてあげるから集中して?」
「ん。んむっ...んくっ...んくっ...ぷぁ...。」
「うわぁ...メル...すっごいエロいわね。」
「ちょ〜っと今集中してるから〜...。」
MP回復ポーションの瓶の口をメルの口に入れて飲ませる。メルの飲む仕草が可愛くて、エロくてつい口に出してしまった。まぁあやに対してやった時のあの背徳感には及ばないけどね。
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──ドガァァアンンッッ!!!ズガァァンッッ!!
「焼き殺せぇぇ!!!」
「「「おぉおおおおお!!!!!」」」
「「「「ガァァア!!!!!」」」」
「うわ...だいぶ酷いことになってるわね...。」
「...そうですね。これをトリックちゃんが...。」
「大丈夫ですお嬢様。お嬢様は私が守り通します。」
「...私ちょっと瓦礫に埋もれてる人達がいないか見に行ってくル。」
「えぇ頼んだわ。」
「私も行く〜!アイリスはそっち方面ね〜。」
「う、うん。てっきり...いやなんでもなイ。」
アポカリプスに降り立つと、まず最初に見えてきたのは街のあちこちから立ち上る真っ黒な煙。トリックちゃんが率いる魔物の軍勢は火攻めを仕掛けたようだ。
そんな真っ赤に染まった街を遠くから見ていると上空に人影があることに気づいた。トリックちゃんだ。
アイリスとメルが所々半壊している建物を見て、埋もれている人がいないかを見に行ってきてくれたので私たちはトリックちゃんがいるところの真下まで行ってみることにしよう。
っとその前に...
「サーラさんは大丈夫かな...?」
この街の領主、サーラ・シヴァ・アポカリプスが生きているのか気になる。この街の領主としてすごく苦労してそうだし、今回のことで色々と苦情とかもあるだろう。...まぁ今はそれどころじゃない訳だけど。
「ひとまず街に入ろっか。」
「はい。」
「お嬢様は私の後ろに...。」
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「い、いやだ...わ、私死にたくない...じにだぐな───!?」
───グヂャッ!!
「グルルル...。」
「「「っ...。」」」
街に入ると早速目の前でNPC...この世界の住人らしき人物がカボチャの頭をした狼?に食い殺された。中々どころかすごくグロい。...カボチャの頭はトリックちゃんと同じく変幻自在のようだ。
「アンナさんはアリスを徹底的に守って。私は前でヘイトを買うわ。」
「へいと...?ってそうしたらスズカさんが!」
「私は大丈夫。金属だから!」
「グルゥゥ...ガヴッッ!!!!」
「《サンダー・フリーズ・シールド》!!」
───バヂヂヂッ...ガギンッッ!!!
「ガァァア!!!?!!?」
雷と氷の複合魔法は完成させたばかりだが、それでもかなり強い。噛み付こうとした狼のカボチャの牙から雷が身体中を走り周り、見事に凍らせることができた。ただ、完璧ではなかったみたいで動きが鈍くなる程度だった。
「《パニッシュメント・オブ・ゴッド》!」
───カァッッッッッ!!!!
───ゴゴゴゴゴゴゴゴッッッッ!!!
動きが鈍くなった狼を照らすように空から光が降り注ぎ、そのまま狼を消し去った。アリスのスキルだろうけどなんかすごくない...?直訳すると神の天罰でしょ?アリスってば聖女じゃん。
何はともあれ先に進みますか...。
「かみのてんばつ」ってスマホで打ったら「髪の天罰」って出てきた。将来禿げたらやだなぁ...。もさぁってしてる髪がいいよね。




