第470話 ドジっ子すずちゃ(殴
───アリスside
「はぁ...最近アヤネが眠っていて寂しいです...。」
「うーん...あやも向こうで特訓してるからね...。だからこの世界での一、二週間...下手したらもっとかな...来られないと思う。」
「うぅ...。はぁ...ここで何か言ったところで何にもならないですから...我慢します。」
「そうね...私も寂しいわ。」
「...それはそうとして最近トリックちゃんの話をよく聞きますが本当なんですかね...?」
「そうねぇ...掲示板を見る限り魔大陸での被害は甚大だそうよ...。」
「なんとかならないのでしょうか...。トリックちゃんは妹がいたらあんな感じなのかなと思うほど可愛かったのですが...。」
「...どうにかしたい気持ちは分かるけど...私は...あやを優先したいわ...。」
「......そうですよね...。」
ベッドに眠るアヤネの頭を撫でながら会話をする私たち。その内容は少し暗いものであった。
確かにトリックちゃんの方も心配で気になるが、それと同時にできるだけアヤネと一緒にいたい気持ちも強い。だけど、魔大陸に甚大な被害が出ているとなれば1人を優先するということは許されないことである...。...それは公爵令嬢として当然のことだから。
「...決めました。」
「ん?」
「私...行ってきます。...アポカリプスに。」
「な、何言ってるのよ...貴女は死んじゃったらそこでおしまいなのよ!?」
「ですが...他の人を...見殺しにするのは私にはできません。」
「...そう。なら私も行くわ。貴女も私の中で少しだけ大きな存在になっているもの...。そう簡単に死なせはしないわ。」
「...スズカさん...ありがとうございます...。」
「ふぅ...そうと決まれば早速準備するわよ!」
そう言って立ち上がったスズカさんは眠っているアヤネを抱き上げ、部屋を出ていく。何をするつもりなのかとついて行くとスズカさんは宿から外に出ていってしまった。
「まずは空島に行くわよ。移動手段としては最適でしょ?それにあやも一緒に連れて行けば守りやすいし。」
「そうですね。」
そうだ。空島があった。空島があればアポカリプスまで飛んで行けるだろう。...だけど一つだけ懸念事項があるとすれば空島を動かせるかどうかだ。私たちの遥か上空にある空島の所有者はアヤネだ。動かせるのもアヤネだけだろう。私たちが動かせるとは到底思えない。
「ふふっ...ハルカちゃんがいるじゃない。」
「あっ...。」
ハルカさんは最近、天魔石の改良で忙しくしていたからかすっかり忘れていた。スズカさんに似ているどころか、スズカさんと双子のような姿をしているハルカさんは空島の所有者が心の奥底での好みによって姿を変えるらしい。...つまりアヤネの好みはスズカさんそのものということ。悔しいけれど魅力的な女性になれるように私も頑張らないと...!
「ふぁ...おはよ〜...。」
「あ、メルちゃん...おはようございます。」
「どこか行くの〜?」
「はい。空島でアポカリプスに。」
「えぇ〜私も行く〜!」
「そうですか?じゃあアイリスちゃんも行くと思いますか?」
「...ちょっと聞いてくるね〜...。」
「...はい。」
露骨にさっきまでの楽しそうだった雰囲気は消え、アイリスちゃんのいる部屋に向かっていくメルちゃん。トリックちゃんもだけどこの2人も心配だなぁ...。
「私ももちろんついて行きますから。」
「ありがとうアンナ...。」
いつもは鉄の短剣を握っているアンナであったが、トリックちゃんの噂を聞き、今回はアヤネが造った大きい短剣を握っている。守りに特化しているこの短剣があれば死ぬことは無いと思いたい。
「おまたセ。」
「...それじゃあアイリスも来たことだし空島に行きますか。《ソイルオペレーション》」
「..あの...スズカさん?」
「なに?」
「...誰が空島まで運んでくれるんですか...?」
「そりゃあやが飛んで...運んで...無理じゃないっ!どうしよう...。」
「『...アヤネの体を借りるのは程々にしているが、今回に限り助けてやる。」』
「うわぁっびっくりした!?」
突然スズカさんの腕に抱かれていたアヤネの目が開かれ、仰々しい話し方で助けてやると言ってきた。言うまでもなくスカーレットさんだろう。
「『...掴まっておれ。...行くぞ。」』
───ギュゥゥゥンンッッッ!!!!
「「「「きゃぁああああああ!!?!?!?」」」」
「すご〜い!楽しい〜!!」
...スカーレットさん...荒々しいです...うっぷ...。
たまにはこんな涼香さんもあr(殴




