第469話 更なる高みへ
「うぅ...くっ...っはぁっ!はぁっ...!」
早朝3時。私は猫耳の悪夢に叩き起された。猫耳をつけたら頭がフワフワしてすずに撫でられ続ける...私の姿をした誰かを少し離れたところから見続けるという夢。メルも私の姿をした誰かのようになっていて本当に怖かった。
悪夢に魘されていたとはいえ、いつも通りの時間に起きた私は山で待っているであろう師匠の元に行くため顔を洗う。昨日は何をしたっけ...あぁ、猫耳をつけてすずに撫でられてたっけ...。
「にゃ!...じゃなくて。」
昨日散々猫みたいににゃーにゃー言ってたせいで気を抜くとついにゃーって言ってしまう。学校でも言わないように気をつけなきゃ...。
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「おはよ〜。」
「おはようあや。昨日は楽しかったね。」
「...そう、かなぁ?」
楽しかったのはすずとアリスだけだったんじゃ...?まぁすずが楽しそうならいいや。
いつも通りすずの膝の上に座り、すずに抱きつく。朝から疲れてるから1時間目が始まるまでこうして眠るのが当たり前になっている。本当は良くないと思うんだけどね...。
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「にゃぁ...ん。」
「あら。起きたのあや?」
「んー...1時間目...始まっちゃう...」
「もう4時間目が終わるところよ。」
「...............は?」
いまなんて?起きたばっかりで幻聴が聞こえた気がする。4時間目?嘘だよね?
そう思い、振り返って黒板の方を見てみるとそこには日本史の先生...4時間目の先生が板書をしているところだった。まじか。...まじか。
「な、なんで起こしてくれなかったのぉ...?」
「あやが気持ちよさそうに眠ってたら起こす訳にはいかないでしょ?それに今日はよく眠れなかったみたいだし。さらに言えばあやは今日に限らず全部の教科の予習も終わってて理解もしてるでしょ?なにも問題なんてないじゃない。」
「ぅぅ...そういう問題じゃ...はぁ。」
「ほかの先生もあやは優秀だから見逃してたしね。」
「...なんとも言えないよ。」
その後の授業はちゃんと真面目に受けた。久しぶりに自分の席に座って授業を受けた気がする。
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「...ふぅ。...はッ!」
────キンキキキンキキキキンッッ!!
「ダメだなぁ。もうちょっと早く反応しろ。」
「はい。」
私は今、師匠と戦っている。師匠は真剣で攻め、時を止める技を使ってきている。対する私は木剣に技の使用は無し。というのも、ゲーム内で時を止めてくる人がいたから私が師匠に頼んでこの対面にしてもらったのだ。
次元斬というのはそう易々とぽんぽん出せる技ではない。もしあの男と連戦にでもなってしまえば一度は勝てたとしても二度目以降は次元斬を使わずに時魔法を攻略しなければならない。
時を止めるということはニアリーイコールで周りの時が止まって見える程早く動くということ。師匠達に教わった朧月等の技は厳密に言えば「世界の理から自身の存在を曖昧にして時を止める」ではなく、「世界の理から自身の存在を曖昧にしてあらゆる物理法則を曖昧にする」が正しい。それによって重力やら脚力やら反発力、摩擦力、慣性力等の制限を突破して超加速すると初めて時が止まって見えるのだ。
そして、ここからが大事なのだが、時を止めている人物が時が止まった人物に近づくとその時が止まった人物も存在が曖昧になるのだ。つまり止まった時の中でも動けるようになるということ。まぁ何が言いたいのかと言うと、時が止まった人物に攻撃しようとするとその人物も時が動き出すということ。
それを利用して師匠に真剣で攻撃してもらい、攻撃が当たる直前でそれを察知して回避、または迎撃、反撃をしたいのだ。言葉にすると簡単そうに聞こえるかもしれないが、実際はすごく大変。何処からくるかも分からない攻撃を肌に当たるコンマ数ミリ単位で反応しなければならない。
「はぁ...はぁ...もう1回、お願いします。」
「おう。」
私はもう既に傷だらけだが、この程度なら問題は無い。暫くはゲームにログインできそうにないなぁ...。
時魔法が無効化されたらもう誰もあやにゃ...アヤネたんを止めることはできない...。




