番外編 力に飢えた者
『はぁ...落ち着いた...ありがとアヤネ。』
「どういたしまして。」
『私...これから地道にお菓子集めてくね。』
「うん。」
『...もうペパポペルに攻撃しないよ...。』
「うん。」
『それじゃあ...。』
「...うん。」
そう言っていても依然として抱きついたまま離れようとしないトリックちゃん。彼女が落ち着くまでこのままでいようかな...。
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──トリックちゃんside
やっぱりアヤネは優しい...。私が色んなことで泣いていると優しく抱きしめてくれる。スズカも優しい。私のために解決策を探してくれる。
ヌコもアリスもアンナもアイリスもメルもみんな優しい。みんな違った優しさがある。私の性質は悪だ。本来ならばこんなにも善が溢れている場所にいると弱ってしまう。だが、それもアヤネ達の優しさによって集められたお菓子パワーによって防がれている。
私はこのままで良いのだろうか...?こんな...こんなに守られているというのに...私は何も返せていない。本当にこのままで良いのだろうか...?
いや...だめでしょッ...!
私は今変わらなければならない。私はもっともっと強くなって...アヤネ達を守りたい...!
『私...これから地道にお菓子集めてくね。』
「うん。」
そう言って私はアヤネ達の元を去った。いつかまた会える日を願って...。
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あれからというもの私は分身技を使用して沢山のお菓子を集めていた。最近はお菓子を持っている人族、魔族が多く、一日に得られるお菓子は10万近くあったりする。その中には1人で1000個以上くれる人もいたが...。勢いがちょっと怖かった。
そして...ついにお菓子の個数が300万を超えた頃、私が行く場所にカボチャを被った骸骨族や腐肉族が多数現れるようになったのだ。私は仲間が増えて嬉しかったのだが、人族や魔族はそれを快く思わないようだ。それはそうだろう。なにせ襲いかかってくるのだから。ちなみに骸骨族や腐肉族は私には襲いかかってこない。やっぱり私の仲間だ。
「おいっ!いたぞっ!!」
「アイツがボスだ!アイツを殺ればゾンビも出なくなるはずだ!!」
「おら死ねえぇえええ!!」
まぁ...そのせいか、私は人族や魔族に嫌われて命を狙われるようになっちゃったけどね。アヤネ達とは違ってコイツらは全くヤサシクない。
【Trick or Treat...お菓子くれなきゃ殺しちゃうぞ?】
「うるせぇ!お前が死ぬんだよぉぉ!!」
「おい!先走りすぎだ!」
───ブンッブブブンッッ!!
大剣をブンブンと振り回して攻撃してくる人間とそれを援護する仲間たち。絆ってこういう物なのかな?
──パシッ...バギンッッ!!
そう思ってヤサシク大剣を受け止めたつもりが勢い余って壊してしまった。ごめんね人間。今度はもっとヤサシクするよ。
【だから...死んでね。】
───バグンッ!!
「へ...ぎゃぁぁあああああ!!!!!」
「ナルゥゥゥウウウ!!!お前よくもおぉぉおおお!!!」
【安心して...貴方も一緒のところにイカセテアゲル。】
「く、来るな...来るな─────!?」
───バグンッ!!!
【...。】
最近はこういった人達が多くて参っちゃうね。だけど...全て私の糧になってくれるから嬉しいっちゃ嬉しいよね〜。これで私はもっとツヨク...ヤサシク...なれる。
そんな日々を送っていると魔族領側で聖女が誕生したらしい。曰く私を倒すために鍛錬しているのだとか。...私の糧に...ナッテクレルカナァ?
元々悪性だからか悪に染まるが早い。




