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番外編 頭隠して...頭さらけ出される。




『ぐっ...はぁ...はぁ...は...離してっ!』

「えぇーどぉしよっかなぁ?」



目の前の虹色の化け物は私の体を羽交い締めにしながら耳元で囁いてくる。最初は何も感じなかったのに、なぜか、囁かれる度に、体の、奥底から、何かが...。



「んもぅ力持ちねぇトリックちゃん?」

『うるさいっ!いい加減に...離せぇッッ!!!』



強化された私の力を最大限に引き出してこの化け物からなんとか離れる。産まれたばかりの私だったら抜け出せなかっただろう。たくさんの生物からお菓子を貰っておいて良かったな...。



「あらあらぁ?ダメじゃないのぉ...勝手に抜け出すなんて。」

『ヒュッ...。』



急に真顔になったこの化け物に私は息が詰まった。早くここから出ないと大変なことになると私の中で警鐘が鳴り響いている。だが...



『くっ...。』



この色の世界からどうやって出ようか...。私は自分の家に転移できるはずなのに、ここではそれが機能しない。どんどんと近づいてくる目が笑っていない顔をしている化け物とそれに伴って大きくなっていく警鐘。



『っ死ねぇッッ!!!』


「んもぅまたそれぇ?さっきもダメだったじゃない...。疲れるだけよ?」


『うっさいうっさい!!こうなればやけなんだよ!!』


「...そう。」




私がいくら腕を強靭で強力な武器に変形させて攻撃してもこの化け物は涼しい顔で指で弾くのみ。それどころか、その顔はどこか微笑ましいものでも見ているような顔だった。...許せない。



『死ね死ね死ねええ!!!』

「ふふっ。この世界では私は死ぬことは無いわ。」



できる限り距離をとりながら化け物を攻撃する。だが、これでは不毛だ。



『《Trick or Trick》!』



────ズガガガガガガガガガガッッッ!!!!



頭のカボチャをも変形させ、手数で攻めていく。それでも手応えはまるでない。これでもさっきまでの攻撃とは雲泥の差があるんだけど...。




『ここからっ!だせぇっ!!』

「やだ。」



──トスッ



『ぁぅ...。』

「ふふふ...そのカボチャの中...気になってたのよね。」

『やぁっ...。』




カボチャは止めて...それは私の...!



──スパパパンッ...!



『ぁ、ぁぁ...ぁぁあああああ!!!!」


「あらま。可愛いじゃない!やっぱり見立て通り私好みの娘ね!」




カボチャが切り刻まれ、中から目元が金髪で隠された美少女が出てきた。




「み、見ないでぇ...!」



先程までの言葉遣いとは打って変わって、しおらしくなったTrick or Trickことトリックちゃん。実は彼女はカボチャが無いとまともに相手と話せないほどの恥ずかしがり屋なのだ。その生命線たるカボチャがなくなってしまった以上彼女はもう戦うこともできなくなっていた。



「かわいいわねぇ...。私の娘にしようかしら...。」

「やぁっ...離してぇ...。ひっぐ...。」

「うふふ...やっぱり恋人にしてもいいかしらね...。」



「そこまでにしてもらえませんかね。ペパポペルさん。」

「んぅ?あら?貴方は確か...神の犬だったかしら?」

「犬...いやまぁ...部下っていう意味ならそうですけど...。それよりも、今日はそのトリックちゃん...Trick or Trickにあまり関与しないよう頼みに来ました。」

「はぁ?何言ってるのかしら?この子はこの世界に迷い込んできた子羊...即ち私のモノなのよ?なのになぜ関係の無い貴方が私に頼むわけぇ?」

「そのトリックちゃんは我々が作り出した存在だからですね。貴女も自分の娘には囚われないで自由に生きて欲しいでしょう?」

「...娘がいた事はないけれど、その気持ちはよく分かるわ。...はぁ。仕方ないわね。次に迷い込んだら今度こそ私のモノにするわよ?」

「ひゃ、ひゃいっ...。はぅっ...。」




なんだかよく分からないうちに話が終わってしまった。慌てて転移スキルを使ってみると、一瞬で自分の住処に帰ってこれた。もう二度と行きたくない...。だけど、お菓子を貰うためにはランダム転移で集めなければならない...。うぅぅぅ...。





「ぁぅぅ...私の...私のカボチャがぁぁ...。」




だれかたすけてぇ...。




本編にも関係あるから番外編という名の本編って事で...。

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