番外編 産まれてきた意味
『Trick or Treat』
今日も私はそう言う。私は全ての生物からお菓子を貰うために産まれてきた。...そう頭の中で理解している。だからこうやって毎日誰かに魔法の言葉を言っているのだ。
2週間前にお菓子を持っているかを問うた時にはほとんど全ての生物がお菓子を持っていなかったが、最近ではお菓子を持っている人族や魔族が増えてきた。...その他の生物は相変わらず何も持っていないし、言葉も通じないけど。
突然この世界に現れた私に対して検証紛いのことをしてくる輩もたくさんいた。毒を盛ったり、突然攻撃してきたり。とてもムカついたからほとんど殺してやった。...唯一、殺せなかった人族の中には弱かったやつもいたのだが、そいつの強い仲間に庇われて倒せなかった。今度1人になったタイミングで殺してやる。
あ、そういえば1週間ほど前に面白い子に会ったんだよね。私が後ろから驚かした時、その子の持っていたアップルパイが床に落ちちゃってさ。お菓子が勿体なかったから私も申し訳なかったけどお菓子を貰うことが私の生きている意味だからといつも通り『Trick or Treat』って言ったんだよね。そしたらその子なんて言ったと思う?
『むぅぅぅ!!Trick or Treat!!』
そう。私と同じ魔法の言葉を言ったんだよ。この魔法の言葉を言われたならお菓子をあげるか、いたずらされるか、このどちらかを選ばなければならないのはこの世の摂理。だからこそ私もこの子にお菓子をあげなければならない。しかし、その時の私はお菓子を持っていなかったからあげられなかったんだよね...。
そこからはもう壮絶すぎる戦いが繰り広げられ...。結局私達は引き分けという形に落ち着いて、逃げ帰ってきた訳だ。
『...あの子の名前...なんだろう...。』
Trick or Treatって言われて動揺したせいか、こんな面白い子の名前を聞くのを忘れていたのだ。
『...また会おうね。』
思えばあの子に対して殺そうという気持ちが湧かなかった。あの子に何があるんだろう...?まぁいいや、今日もお菓子を探そう。ちなみに転移先はランダムだ。最近だとカボチャのアクセサリーを持っている生物のところにワープしやすい気がするけどね。
そして転移先で私は地獄を見た。
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転移した先は様々な色がぐにゃぐにゃと混ざりあっているような先の見えない果てしなき空間。そして、1つの大きなベッドがそこにはあった。
「...あら。こんな所に迷子の仔羊ちゃん?」
『っ!?と、Trick or Treat!』
「お菓子が欲しいの?」
『...。』
目の前の圧倒的な存在感を放つ女...女性にコクコクと肯定する。転移すると、必ず相手の死角に現れるのだが、何故かこの女性は私が魔法の言葉を言う前に...というか転移した瞬間に気がついていた。一体何者なんだこのわがままボディの女性は...。しかも人型なのに私が1週間前に会った面白い子と同じく虹色の角を生やしている。トロ目で泣きぼくろも付いていて控えめに言ってすごくえっちぃ。
「そうねぇ...私お菓子、持ってないのよねぇ...。」
『っ!?』
ニヤッと薄い笑みを浮かべる目の前の女性。なんだか、逆にこっちが食われそうな雰囲気だ。でも魔法の言葉に従う以上、私はこの女性を襲わなければならない。
『じゃ、じゃあ殺すっ...!!』
「ふーん?頑張って?...疲れたら私が抱きとめてあげる。」
『っ...。』
そこだけ聞くと優しい女性のように見える。だが、なぜか、なぜだか冷や汗がダラダラと背を流れる。私、終わったかも。
「あ、そういえば自己紹介まだだったわね。」
困り顔でそう言う女性はとてもえっちぃかった。
「私の名前は虹色王ペパポペル。この色の世界を司る七大罪の1角よ。色欲とも言うわね。」
『...。』
私、終わったかも。(2回目)
はい。七大罪の6人目が出てきました。あと一人ですねー...。
ちなみにペパポペルさんですが、山羊をモチーフにしてまして、ロリっ子・ショタっ子が大好物です。
トリックちゃん逃げて超逃げて!




