第444話 欺瞞
「...。」
なぜ今まで2体しか出てこなかったのに4体に増えているのか。今までと違ったのは魔物の倒し方だ。同時に倒せば次もまた2体。でも片方だけ倒せばもう片方も消えていき、次は怒っている魔物が4体現れる...。
「ん?」
「メワモレルモン...!」
「スモモモモモモモモノウチ...!!」
「メメモレルミン...!」
「ミレレマレモン...!」
「...あの子だけちょっと...違う?」
何がどう違うとは言葉にできないが、何かしらが違う。雰囲気か、纏う風格か、他とは違った感じを抱く存在があの4体の魔物達の中に紛れ込んでいる。とりあえず他の魔物を倒してみて、どうなるかを確認してみる。
「ふーっ!!」
───ゴォォオオオオオ!!!
「メギラァァァゴォォォォン...!」
───バシュッ...!
すると案の定他の三体も同時に消えていき、今度は8体の魔物が現れた。しかも、今までは単調な攻撃ばかりしてきていたのに氷属性魔法も使いだした。
「...やっぱりいる。」
そう。さっき見つけた他とは何かが違う魔物。今度はこの子だけを倒してみる。すると...
───キィィィィン...
目の前に白い階段が現れた。黒い階段の先がボス戦だからまだまだ道は長い...。
と、そう思いながら階段を上ると
『『『『モメレルメレルン...!』』』』
10...20.........98の頭を持つ巨大な人型の魔物が目の前に現れた。もしかしなくてもボス戦だよね...?あれ...黒い階段ボス戦説はどこへ...?
「《鑑定》」
《──《鑑定》が弾かれました──》
「...無理かぁ。ぐっ!?」
『モメレルラレメン...!!』
こんなタイミング悪く凍るなんて...!しかも相手は攻撃の初動に入っている。無防備にあの巨大な腕を叩きつけられれば即死は免れない。
4...3...2...
「...っがぁぁぁあ!!!!」
動けるようになったと同時に相手の攻撃に合わせるようにこちらも拳をぶつけた。もちろん天力を纏って。そうしないと多分攻撃が当たらないと思うんだよね。今までの魔物もそうだったし。
「ふぅ...ふぅ......危なかった...。」
1分ごとに凍りつくから本当に気をつけないとこうなっちゃう。そして、相手の頭が98もあるので恐らく、1階と同じように違った雰囲気を纏う頭を攻撃すればいいのかな?
「そうと決まれば...!」
───バッッ!!
残り30秒。勢いよく飛び上がって異質な雰囲気を纏う頭を探す。と、下の方から探していくと簡単に見つかった。
「はッ...ふーっ!!」
───スパンッ...ゴォォオオオオ!!
頭を斬り飛ばし、雪に戻ろうとしている頭を炎で焼き消した。これで終わ────!?
『ハァァァズゥゥゥレェェェエ...!!!』
「ぐっ...!」
ちょうど1分が経ち、相手の反撃に私は為す術なく吹き飛ばされる。分からない...。異質な雰囲気を纏っていた頭はあれだけだ。間違っていなかったはず...ん?
「...もしかして...逆...だったり...?」
さっきの白い階段もそうだけど、この試練の塔は色んなものが逆になっているのかな?ボスらしき頭の数...98は異質な雰囲気を纏っていない魔物を倒した数と同じだ。きっと最初の接敵で異質な雰囲気を纏う敵を倒していればボスの頭は1つだけになるか、もしくは無くなるか...。...つまり、私は1階でボスの強化をしていたということになる...。
「...あの頭を除く全ての頭を斬り飛ばす...か。」
あの頭以外をみじん切りにすればこのボスは倒せるだろうか?それはやってみないと分からない。




