第439話 事故
無表情で、淡々と語るハルカちゃん。私は堪らず飛び上がる。そして向かう先は...
「...あの天魔石を、壊す。」
私たちの空島を、そしてハルカちゃんを吸い込もうとする天魔石だ。
『...やめた方がいい。』
「なんで?」
『大変なことになる。具体的には──』
「それでも、それでも!ハルカちゃんが助かればそれでいい...!!」
『...最後まで聞──』
なぜ私たちの空島がアイレーンさんのお城の真上にあったのか、なぜ天魔石が空島を吸い込もうとしているのかは分からない。だけれども、その全てが私のせいであることは分かる。
「だから...壊す...!!」
『...。』
自分でやった事には責任を。
翼と右手に天力を纏い、凄まじい速度で天魔石に接近する。そして、振り上げた右手を...
そして私は後悔した。
───トプンッ...!
「へっ...?」
スカーレットの話を聞き流したということに。
《──エラー発生──》
《──天力を確認──》
《──融合開始──》
─────────
──────
──スズカside
──トプンッ...!
「へっ...?」
「あ、あや!?」
突然あの空島に飛んで行ったと思えば殺気じみた顔をしたあやが空島から飛び降りてあや達が造った天魔石に凄まじい速度で向かっていく。そして、振り上げた右手を天魔石にぶつけようとしたら、なぜか液状になった天魔石にあやが取り込まれてしまった。そのまま天魔石は眩い光を放ち出した。
慌てて天魔石の元に行こうとすると、アイレーンさんが私の手を掴んで「ダメよ。あなたまで取り込まれるわ...。」と言ってきた。
「うぅ...!」
STRが高いのか、簡単に抱き込まれてしまった。
「...こう見ると貴女も可愛いわね。スカーレットやアヤネとはまた違った可愛さよ。」
「は?私はネコじゃなくてタチよ。」
「あらら。」
アイレーンさんの拘束をするりと抜け出し、ようやく発光が収まった天魔石の元へ向かうと、そこには天魔石の中で胎児のようにくるまっているあやの姿があった。目は閉じていて意識がないことが分かる。フレンド一覧であやの項目を確認するとログアウトしているようだ。自主的にログアウトしたのか、はたまた強制的にログアウトさせられたのか...。
「...確認しよう。」
そのために私はログアウトしに行ったのだった。ログアウトしたのは当然あやのそば。...私たちは、いつでも、一心同体だよ。
──────────
───────
───次の日。
「一応昨日の件について運営に問い合わせてみたんだけど...」
「だけど...?」
「『一時的なものだから気にしないで』みたいなこと言われちゃった。」
「はぁ...?」
あやから事の顛末を聞いたが、なんとあやは強制的にログアウトさせられたらしい。それにその後はログインもできない状況だとか。運営の対応に理解できても納得はできない。私の方でも運営に問い合わせようかな...。
「しばらくは何もせずにダラダラ過ごそうかなぁ...。」
「...そうだね。」
これじゃああやと一緒にいられる時間が減っちゃうじゃない...。これはお泊まり会を開催するしかないわね...。
「あや。」
「なぁに?」
「私、今日からあやの家に泊まるわ。」
「えー?いいけど私の部屋狭いよー?」
「大丈夫よ!...むしろそっちの方がくっつけて...。」
「すず?」
「1週間ほど泊まることにするわね!」
「分かったー。お父さんに伝えとくね。」
こうして私はあやと一緒にいられる時間を増やしたのだった。...なんならいつもよりも多くいられるよね。...やった。
天魔石に取り込まれてしまったアヤネたん!それを助けようとしたスズカさんは何もできず、後悔の念だけが残ってしまった!ログインすらできなくなったアヤネたんはどうなってしまうのか!...そしてお泊まり会。アヤネたんは無事でいられるのか...!
次回!あ、番外編です。デュ○ルスタ○バイ!




