第436話 いい奴だったよ
次の日。
「これは...違う...。これも...。」
「これは?...違った...。」
「あ、これ綺麗だヨ!」
「うーん...どれも違うなぁ...。」
私たちは今、アイレーンさんが貸してくれた部屋の中でインベントリから出した魔物から取れる魔石を選別している。というのもあのアヤネが46階層から99階までの魔物を全て倒したことによって大量の魔石が取れたためである。当初の予定ではベッドの上でやるつもりだったのだが、キングサイズのベッドでも収まらないほどたくさんあったため地べたに座ってやっている。
そんな私たちが探しているのは氷獄の魔晶石。天魔石を創るための装置を造るためにそれが必要なのだ。とりあえず3つは見つけてあるのだが、こんなにもあって3つしか見つかってないというのはどうなんだろう?運が無さすぎるのか、はたまた氷獄の魔晶石が相当希少な物なのか。...恐らく後者だろうね。
「あ、あったわ!」
「おぉ!これで4つ目だね!」
本当なら街で解体した時に見れば良かったんだけど、魔物の死体の数が余りにも多くて先に解体を終わらせることにしたんだよね。...そのしわ寄せがここに来てる訳なんだけどね。
「4つしか無いわけだけど、これらで造れるのかなぁ?」
「ひとまずアイレーンさんのところに行きましょう。」
「そうだね。...アイリスとメルも行くよー!」
「分かった!けど!ちょっと待っちょっ離してッ!!」
「い〜や〜だ〜!私もアイリスのおっぱい揉むの〜!」
「くっ!離してよ!?」
そうアイリスが言ってメルに掴みかかるが、メルが掴まれたところをスライムに変形させたことによってアイリスの手がグニュンッとのめり込み、逆に捕らわれてしまった。
「...あや。」
「ん?なに?」
「お取り込み中みたいだから私たちは先に行こうか。」
「え?止めなく───」
「行こっか。」
「う、うん。...ごめんねアイリス...。でも昨日の件もあるからお互い様だよね...。」
「え、あの、アヤネ、さん??助け、助けて...?助けひゃぁぁっっ!!ちょ、ちょっとどこ入ってるの!?」
「え〜?もちろん服の中だけど〜?」
「見れば分かるよ!?」
そこで私の視界は真っ暗になった。すずが手で私の目を覆い隠したのだ。そのまま私たちは何も言わずにアイレーンさんのところに向かったのだった。...なぜか私の目を覆い隠したまま。
ちなみに私が最後に見た光景は、完全にスライムになったメルがアイリスの体を包み込んで服を捲ったところまでだった。
──────────
「す、凄いわね!こんなに沢山採れるなんて!」
「え?4つしかないですけど...?」
「ううん。4つもの間違いよ。本来この氷獄の魔晶石は普通に100階まで攻略しても1つしか見つけられないものなのよ。場合によっては100階まで攻略しても魔晶石0なんてことも珍しくはないわ。...まぁ100階まで攻略できる者なんて限られてるけれど。」
「そうなんですか...。」
「そうよ。それこそ迷宮内の魔物全てを倒さない限りこんなに沢山は採れないもの。」
「あは、は...。」
「...何その顔...。まさか...。」
「いやいや...さすがに全部ではないですよ...。...46階層からです。」
「さすがにね───って半分じゃない!!しかも難易度が高い方!」
大変驚かれたけど、私たちがやった訳じゃないからね。詳しいことを伝えたら「複製ってことはアヤネもできるって事でしょう?」なんて言われた。...さすがにそれは厳しいです。
「っと、話がズレたわね。さて、そろそろ造りましょうか。《フロスト・クリエイト》」
────ヒュォォォオ...カチカチッカチンッ!!
手に持っていた魔晶石が白い風となり造られていく装置に吸い込まれていく。完成したそれは最初に造った物と似ているが、強度は段違いに違うことが見て取れる。ウィンズさんが造ったあのサイズの天魔石でもビクともしなさそうだ。
どうなったかは各自妄想してください。ちなみに私はアイリスが触○になったメルにピーされるところまで妄想しました。(テキトー)




