第433話 情報屋リターンズ
2日後。
ゲームにログインした私はさっそくメイさんのいる情報屋さんへ向かうことにした。あの迷宮についてのことを話したいからね。昨日はすずと色々と情報を纏めたから特に何もなかったんだよね...。
「道案内ありがとねアイリス。」
「ううん。問題ないよ。」
「それよりも...」
「ん?」
「...メルとは仲直りしたの?」
「うぐっ!?...い、いやぁ...?その...。」
「まだなんだ。」
「...ハイ。」
「なんで喧嘩したのか分からないけど、仲直りは速い方がいいと思うよ?」
「ははは...。」
何か言いたげな顔をするアイリスに私はこれ以上何も言えなかった。
「...何かあったら言ってね?」
「...うん。ありがト。」
「っと見えてきたね。」
────────
「いらっしゃ...あら?アヤネたんじゃない!どうしたの??」
「メイさんこんにちは。」
「こんにちは〜。」
「今日来たのは氷獄迷宮について話をしたいなと思いまして。」
「え!?まさか本当に行ったの!?」
「ん?はい...。」
「...アイリスちゃんも一緒に?」
「うん。楽しかったよ。」
「そ、そう...。」
アイリスがそう言うと、メイさんは項垂れた。氷獄迷宮ってそんなに行っちゃだめだったの...?
「...まぁいいわ。それで...?聞いたら後悔しそうだけど、話って?」
「氷獄迷宮の地下100階まで行ったんですけど、」
「は?今なんて...?」
「氷獄迷宮の地下100階まで行ったんですけど...?」
「はぁぁぁあああああ!!???!?ほ、本当に!?本当に100階まで行ったの!?」
「はい。」
「見間違えじゃない!?」
「すずに教えてもらったので間違いないです!」
「スズカさんへの絶対的な信頼!!」
「46階層から100階層までの出現する魔物のリストも作ってもらいました!」
「スズカさん超有能!!」
アイスソードから始まりフロストサーペントまで、様々な魔物の名前とちょっとした情報が載っているリストをメイさんに渡す。
「...なるほど...。50階と100階にそれぞれボスがいたのね...。あら?フロストバトルホースから先の魔物は他に情報はないの?名前ぐらいしかないけど...。」
「それが...実際に戦った訳じゃないからなんとも言えないんですよね...。」
「戦った訳じゃない...?」
「グレースさんって人のスキルで50階から99階までの魔物たち全部を倒しちゃったので詳しい情報がないんですよね...。」
「グレースさん...あの写真家さんね?あの子のスキルは確かに強力だけれどねぇ...ストックの中になにか有力な写真はあったかしら...。あとで調べましょうか。」
「?」
よく分からないけどあのスキルは普通に強いと思う。あの子に『また会おうね』って言われたけど、また会えるかなぁ...?
「それにしても、なんで100階層までだと思ったのかしら?」
「フロストサーペントを倒したあと、先に進む道がなかったんですよ。」
「なるほど...。分かったわ。ありがとう。これがこの報酬よ。」
「へ?」
「中には5000万Gが入っているわ。」
「ごせんっ!?さ、さすがに受け取───」
「───あーあーどうしようかな〜!?アヤネたんが受け取ってくれないと情報屋としての面目が潰れ───!」
「分かりましたからっ!!受け取ります!さようなら!」
「毎度あり〜!」
半ば強引に5000万Gが入った袋を押し付けられた私はそそくさとインベントリに入れてアイリスの手を握って外に出た。5000万って...考えるまでもなく大金だよ...。それをポンと出せるのがすごいなぁ...。
大規模レイドでも46階層までで攻略を断念した氷獄迷宮の情報は当然高い。




