第428話 写真家グレースの大冒険(笑)②
──グレースside
次の日。...というかゲームの世界では3日後になるが、私達は今いる46階層からさらに下へ向かう。敵のレベルは200と結構高いが、スズカさん達が強すぎて一瞬で蹴散らされていく。あれ?これ私いらない子なのでは...?
──────
「もうすぐ50階層ね。」
「そうだな。アヤネがそこにいるかは分からないが進まなければ会えないだろう...。」
「そうですね...。あの声が聞こえてからもう3日も経っていますし...。」
実際、アヤネからしたらあの龍化スキルで相手を倒したあと、ログアウトしただけなのだろう。それに今日もログインしていると思われる。
「進みましょ。この迷宮の攻略法は分かったからね。」
そうなのだ。この迷宮は各階層に1つずつ直径1mぐらいの青色の水晶玉がどこかにあり、それに魔力...MPを通すことでその階層の構造変化を止めることができるのだ。まぁ3時間という時間制限はあるが、とても長い方だ。なにせスズカさん達とオマケの私のパーティは各階層を僅か30分でクリアしていくのだ。3時間もかからない。...それでも最下層あたりはもっと時間がかかりそうだけれどもね。
「ん...?...あぁボス戦ね...。」
50階層に進むとそこはただただ広い部屋があるだけだった。そして、その部屋のど真ん中には...
「あちゃー...。」
「どうしたんですかヒョウさん?」
「いや...ね。あの魔物...僕嫌いなんだよねぇ...。」
ヒョウさんが言っているのは、私がさっき言いかけた部屋のど真ん中に置いてある巨大な氷像。魔物だろうとは思っていたが、ヒョウさんはあれが苦手らしい。なんでさ。ただの氷の馬じゃないか。強そうではあるが苦手な理由が分からない...。...あ、もしかして戦闘の相性的に不利だったりするからかな...?
「とりあえず...《ハイチーズ》」
「え?なんで写真...?」
───パシャッ!
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【名前】フロストバトルホース《BOSS》LV.350 状態:封印
【弱点】司令核
【苦手属性】炎
【説明】身体を構成する全ての要素が火属性で溶けない氷で創られており、当然ながらその体は硬い。体が大きく、足が長いため通常攻撃があまり通用しない魔物である。普段は氷像のようにピクリとも動かず、近づくと近づいた者を徹底的に潰すために動き出す。
HP:64500/64500
MP:53229
STR:96457
VIT:63248
DEF:54170
AGI:89560
INT:23415
DEX:63541
MND:100000
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「はいこれ。」
「え...?あぁ、鑑定みたいなこともできるのねぇ...。」
ドヤァ...。私のカメラは万能なのだ!もっとこのカメラを褒めるといい!...と冗談はさておき、相手はBOSS級。レベル350とは思えないほどの強化が施された強い魔物だ。ここでみんなの体力を削らないためにも私はスキルを使おうと思うのだが、良いだろうか?
「良いも何も許可なんて求めなくても良いわよ?」
「そうか...なら使わせてもらおう。《創現造》」
────ジジ、ジジジー...ジジッ!!
とある写真をカメラにセットし、スキルを使うと赤い魔法陣が地面に現れた。そこからデータが構成されていき、最終的にできたのは...
「あ、あや...!?」
その写真と瓜二つなアヤネの姿だった。さしずめNPC版アヤネと言ったところか...?
写真に映る者をそのまま召喚するスキル。ステータスは変わらないチートスキルで、世界監視AIによって忠実に本人を再現する。記憶はさすがにこの世界の法律によって引き継ぐことが禁止されているため傍から見ると『戦闘能力は体が覚えているが、記憶喪失のアヤネ』というよく分からないキャラが爆誕する。




