第427話 写真家グレースの大冒険(笑)①
──グレースside
「あ、アヤネはその...大丈夫なのか...?」
「...大丈夫よ。だって私のあやだもの。」
「そうです!きっとアヤネは生きています!」
「そ、そうか...。」
「愛だねぇ...。」
「愛だネ。」
「...私とも───」
「断ル。」
私もアヤネへの愛を感じた。それとも、アヤネが強すぎるだけなのか...。それはわからないが、このパーティはなんというか...暖かいな...。今までずっとソロで旅してきたが、こういうのも良いのかも。
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「あやからもらった情報だとこの迷宮は最低でも45階層はあるらしいわ。そこまでが攻略班の最高到達点のようね。だから魔物の情報はそこまでしかないわ。」
「とりあえずそこまでは情報を頼りに進むべきでしょうか...。」
「...見た感じ20階層まで遠距離攻撃を使う敵がいないみたいだから私が前に出るネ。みんなは魔力の温存を。」
「じゃあ私アイリスの強化する〜。《コネクト:木の戦士》」
「え゛!い、いらにゃぁぁあっ!?ひゃぁんッ!?」
───ニュルッッ!!ヌチャァッ!
メルちゃんが突然スライムのように溶けたと思ったらアイリスちゃんに飛びついた。これだけでもツッコミどころ満載で驚いたのにそこからアイリスちゃんの体に木の枝が絡みついて、服のような形状になった。頭には枝と花で作られた冠が...。可愛いけどそんな事よりも!
「め、メルちゃんはどうなったんだ!?」
「ん?あぁそういえば説明してなかったわね。」
スズカさん曰くメルちゃんはなんと正真正銘スライムだったみたい。マジか。それで今はスキルを使ってアイリスちゃんの装備になっているらしい。なんだかこの世界ってなんでもありだなぁ...。
『すぅはぁすぅはぁ...アイリスぅ...。』
「くっ...不覚...。」
『...うん。アイリス成分たっぷり吸収した!さぁ戦おっかアイリス!』
「まったく...。」
アイリスちゃんは嫌々といった顔で大剣を片手で持ち、先頭に立った。
「わ、私も何かしたいが...今は使わない方が良さげか。」
「グレースさん何かあるの?」
「あぁ。ずっと1人で旅してきたからな。強力な魔物相手に使えるスキルは持っているぞ。...まぁ使うと1時間近く使えなくなるスキルだがな。」
「へぇ...。下層で使ってくれることを期待してるわね。」
「おうとも。」
どうしても勝てない相手には私のスキルを使わせてもらおう。ほんの少しだけ実力も知れたしな。...普段使いも検討させてもらうことにする。
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──40階層
「やっと40階層ね...。」
「1階層降りるのもやっとになってきたしねぇ。」
「そうだね。」
「そうですねぇ。」
前の4人...5人組?...スズカさんとヒョウさん、アイリス(メル)ちゃんとアリスちゃんが仲良く談笑している。さすがにこの階層ぐらいになってくると魔物の強さも段違いだ。そのため今のメンバーでの総力をもって攻略している。ちなみに私を守るためにアリスちゃんのメイドさんであるアンナさんが一緒にいるが、ずっと無言なので怖い。
と、そんなことを考えていたら...
『レイドボス:超級龍種・憤怒の焔龍王スカーレットが現れました』
『レイドバトルに参加しますか?参加 /45000人』
「「え...。」」
反応したのは私とスズカさんだけ。それもそうだ。私たち以外みんなNPC...この世界の住人なのだから。彼らにはこのレイドボスが現れたという通知など来ないのだろう。そしてこの通知は何度か見たことがある。...最初はそう...アヤネの暴走だ。
『 『 グォォオオオオオオオオオ!!!!! 』 』
───ビリビリビリッッッ...!!!
この迷宮どころか世界を揺るがすような声を上げる彼女。とりあえずアヤネが生き残っていることが分かったが、あのスキルを使うような相手がさらに下層にはいる訳だ。気を引き締めないとな...。
この日の最終的な到達点
スズカさん一行:46階層
アヤネ:100階層




