第422話 瀕死
───ピチャンッ...
「うっ......ここ、は...?」
やけに重い体を動かして起き上がる。そこは天井から水漏れしている広く薄暗い通路だった。しかも寒い。そして、真上には私が落ちたと思われる穴が...空いてない!?
「ど、どういうこと...?」
『...この迷宮は数分おきに内部構造が変わる。ちなみにアヤネが落ちてから20分経ってる。』
「20分...。」
私が落ちた時と同時に落ちたであろう私の刀を拾い上げ、土埃を落としてから再び腰に帯びる。鞘に少しだけ傷がついたが、刀身に問題はなかったため一安心。
「...歩くか。」
数分おきに構造が変わるとなれば今の私の状況は最悪を超えて地獄絵図だ。なにせ私の方向音痴に加え、今いる階層もスタート位置も通路も数分で変わる。メイさんからもらった情報は今いる階層が何階か分からないため役には立たない。...私二度とここから出られないのでは...?...最悪自害も考えないとな。とりあえず歩き続けよう。
──ピシピシピシッ...!!ピシピシピシッ...!!
「...?」
幾度の分かれ道を進み先程までの寒さがさらに強まったところで何かがひび割れる音が聞こえてきた。...これは氷を踏み砕いた時に鳴る音だ。つまりこの先に魔物がいる。
──カチッ!カチッ!!
──ピシピシピシッ...!!
「っ...《鑑定》...。」
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【名前】フロストストッパーLV.798 状態:正常
【弱点】???
【苦手属性】???
【説明】守りと氷属性ブレス攻撃に特化した氷属性の要塞ゴーレム型の魔物。氷を四度凍らせた氷で構成される体は並大抵の攻撃では傷1つ付けることすら不可能だろう。そして、この魔物が歩いた場所はもれなく凍り、生身で触れると凍ってしまうほど冷たい。さらに、体の中では多種多様な小型の魔物が生息しているらしい。別名:氷獄迷宮のルンバ。
HP:??????/??????
MP:??????
STR:?????
VIT:???????
DEF:???????
AGI:???
INT:??????
DEX:???????
MND:???????
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「うそ...。」
何このレベル...。こんなにレベルが高いのを見たのはマリエスタさん以来だ...。ステータスも馬鹿げている。もしかしなくても私じゃ勝てない。別名が氷獄迷宮のルンバってことはこの迷宮の掃除屋ってことだよね?
それにさっきは氷を踏み砕いた時に鳴る音って言ったけど、全然違った。この魔物は逆に踏んだところから氷を生み出している。しかも結構広めの通路なのに隙間が無くなるほど大きい。
「...逃げるしかないよね...!!」
そんな魔物がこの一本道の反対側からこちらに向かってきているのであれば逃げるしかない。
...と思っていた私を嘲笑うかの如くフロストストッパーは口を大きく開けた。
「メワワワワワワ...!」
───キュィィィィイインッッ!!
「はっ...────?」
──ズドォオオォオオオオオオオオオンンンッッッ!!
視界が真っ白になる。
体が動かない。
強烈な眠気が襲ってくる。
私は...
『諦めるなアヤネ。』
──────────
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──────
周囲の水分を凝固させたために通路が真っ白い煙に包まれている。
──ピシピシピシッ...!ピシピシピシッ...!
目標を排除したと確信したフロストストッパーは体の構造を変化させて自身の来た道を戻って行った。
「はぁぁ......はぁぁ......。」
そして誰もいなくなった通路にボロッボロになった服を着ている1人の少女だけが残された。
「天力って...凄いね...。」
『万能だから。』
その少女は今にも消えてなくなりそうな程消耗しきった顔で1人呟いた。
アヤネたんパートがひと段落ついたらスズカさんパートにいきます。
※そしてお知らせ※
昨夜2回目のワクチン接種をしたのですが、思った以上に副作用が酷いので念の為、明日・明後日(9月/26、27日)の投稿を休止致します。明日はバイトもありますからね...。すみません...28日にまた会いましょう...。




