第417話 喧嘩?
「...あれから魔物に出会わなかったわねぇ...。」
「そうだねぇ...。」
すずがそう呟いたので相槌を打つ。すずが言った通り、最初に出会ったあの虎型の魔物達...フローズンタイガーの群れを退けてからナティルードにたどり着くまで、一切他の魔物達と出会わなかった。あ、でも他の魔物プレイヤー達とは出会ったけどね。みんな優しい人達でにこやかに挨拶してくれた。
「止まれ。...ん?人族?珍しいな。」
「こんにちは。」
「おう。とりあえず入れ。」
「はい。」
もはやシロクマそのものである門番さんに言われて街に入る。いつも思ってたんだけど、なんで簡単に入れるんだろう?それを聞くと、ゲートが門に埋め込まれているらしい。それで犯罪歴とかを調べられるそう。
「ここがナティルードですか...。前の...トゥエティーでもそうでしたけど、黒っぽい建物が多いですね。」
「出発する前にあやがアイリス達を迎えに行ってる間に調べたんだけど、前に薪に使った隣国マノールのノワルウッドを建材に使ってるそうよ。」
「なるほどぉ...。」
確かにここは木が育たない気候だし木を輸入するのは当然なのかなぁ?それにしてもこの街は屈強な人...魔物が多いね。これも隣国が近いからかな。
「宿取りに行こっか。」
「2人部屋は勘弁してくださイ。」
「え?アイリスどうしたの急に...?」
「せめて3人部屋にしテクダサイ。ソウシナイト私...!」
「お、落ち着いて!?分かったから!」
「アリガトウ。」
アイリスが何かに怯えるように懇願してくる。チラチラとその目がメルを見ているのだが、メルとなにかあったのかな?さっき迎えに行った時も顔を赤くしてたけど、関係あったりする...?
「じゃあ今日は私とすずとアイリス、メルとアリスとアンナさんの3人部屋を2部屋でいいかな?」
「いいわよ。」
「私はそれで大丈夫です。」
「お嬢様がそう仰るのならば私も構いません。」
「むぅ〜...。」
アイリスは壊れたおもちゃのように首をブンブンと振って肯定する一方で、メルは不服といった顔で顔を逸らす。やっぱり何かあったよね...?
「へいらっしゃい!」
「3人部屋を2部屋、とりあえず1週間取りたいんですけど...」
「おう空いてるぜぇ!」
この宿屋の店主も屈強な方だ。1週間取ったので、これからヒョウさんを探しに行く。アイレーンさんがヒョウさんはここにいると言っていたからね。でもこの街は結構大きいし、どこを探せば良いんだろう...?
「魔物探しかい?それなら情報屋を紹介しようか?」
「情報屋ですか?」
「おう!つい最近...と言っても半年ぐらい前にできたばかりの情報屋なんだけどな、そこが結構いい評判なんだよ。どんな情報でも見つけてくれるってな。」
「なるほど...。」
「その情報屋は中央広場から北の大通りを進めば簡単に見つかるから。」
「そうですか...ありがとうございます。」
「良いってことよ!」
皆にはヒョウさんを探してもらって、この情報屋さんには私とアイリスの2人で行くことにする。その方が効率がいいからね。ちなみになんでアイリスなのかは、さっきのやり取りを見れば分かるだろう。...え?私が迷うからアイリスなんじゃないのか...だって?アハハ何言ってるのかワカンナイ。
「...それじゃあアイリス道案内宜しくね?」
「...分かっタ。」
そんなジト目で見ないでアイリス...。




