第410話 隙あらばイチャイチャ
「くっ...。」
スカーレットが体の所有権を私に返したのですず達のいる場所に帰ろうとしたが、一気に翼の力が抜けて地面目掛けて落ちてしまう。
──ガシッ...!
「おっと...大丈夫かしら?」
「あ、はい。ありがとうございます。」
すぐにアイレーンさんが左腕だけで私の体を受け止めた。スカーレットとの戦いで右腕が無くなったアイレーンさん。なぜそんな平気な顔をしているのだろうか...?
「ん?右腕のことなら心配しなくてもいいわよ?私とて魔物の延長線上にいる身。放っておけば治るわ。」
「は、はぁ...。」
魔物が腕を無くしても怯まずに襲ってくる理由が分かった気がする...。でも痛いものは痛いと思うんだけど...。それに利き手だったら生活も大変そう...。
「そんなことよりもスカー...じゃなくてアヤネのその姿は一体どういう事?」
「へ?」
そういえばさっきまで燃えていたなと思い、やけに動かない手を持ち上げて髪に触れる。もう既にスキルの効果が無くなっているので燃えてはいないが、自分の目の前に横髪を持ってくると何が起きたのかが分かった。
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【効果⑤(LV.1)】スキル使用後、現実世界での7日間全ステータスが0.5倍され、身体の色素が薄くなる。
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「...スキルの影響ですね。」
「具体的には?」
「全ステータス...全部の能力が半分になって、体の色素が無くなるっていう...。」
「ふーん?なるほどねぇ??」
今、私の体に力が入らないのは恐らく全ステータスが0.5倍されているからだった。それに髪が真っ白...に見えるけどよくよく見たら透明?なのも身体の色素が薄くなったからだろう。なんかシロクマの毛みたい。...それと心做しか、私の肌も少しだけ白っぽくなっているような気がする。ここら辺は微々たる変化かな?
「あやぁぁぁ!!!!」
崩れたお城の瓦礫、その上で心配そうに声をかけてくるすずと何が起こったのかよく分かっていないような顔をしている皆のところに到着した。
「あ、あぁ...あ、アイレーン...?そ、そそそそその右腕は....?」
愛妻家(?)であるヒョウさんはアイレーンさんの右腕が無くなっていることに酷く狼狽している。すず達も私の姿を見て目を見張っている。
「あやっ!!」
「すず。今は全ステータスが半分になっちゃってるからあまり力入れないでぇぇッ!?」
「あやぁぁぁ!!...あぁ...白髪のあやも可愛いわ...!!スンスン...。」
「あぁ...また始まる...。」
──スンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスンスン.........
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「すぅ...すぅ...。」
小一時間たっぷりと匂いを嗅がれたアヤネは半分になった体力をなぜか残り1割まで減らされ、戦闘をしたこと(見てただけだけど)もあって疲れ果てて寝てしまった。...そんな彼女に膝枕をしているのはもちろんスズカ。アヤネの頬に手を当てて微笑む姿は正に聖母であったが、その心の中はきっと深淵よりも深く、昏いモノであるだろう。
そんな彼女の手のひらに頬をスリスリしているアヤネは夢の中でもスズカと一緒にいるのだろうか?
いずれにしてもどこにいても変わらない2人であることは間違いない。
「...スズカさんが羨ましいです...。」
「私も小動物を愛でたいですね...。」
全くこの子達は...(後方腕組)




