第406話 セキデン
出発の準備をして、その日は洞窟の中で一日を終えた。
次の日。相変わらず外は吹雪いているが、昨日と比べればたまだマシな方だ。
「じゃあ手つなごっか。」
「え?君たちそんなことしてるの?」
「寒さを凌ぐために手を繋がないといけないんですよ。」
そういえばヒョウさんに天力で寒さを凌ぐことを伝えていなかった。だから歩きながら天力のことから説明しようかなと思っていると...
「そういう事なら僕に任せてよ!《フロステクション》!」
───ォォオッッ....──────!
「おぉ...風が止んだ...?」
「寒くない...?」
「手を離しても大丈夫みたいですね...!...アヤネとは手を繋いでいたいですけど...。」
「これでお嬢様を守れます...!」
ヒョウさんがスキルを唱えると凍てつくほど冷たかった風がピタリと止んだ。今私は天力を纏うどころか炎の魔石すら身につけていない。さすがは氷結の女王...星氷の女帝であるアイレーンさんの夫なだけあると言ったところか。
「ん?あぁ...勘違いしてるみたいだから一応訂正しておくと、僕のこの力はアイレーンの加護によって得たものさ。だから僕の素の能力は一般人となんら変わりないよ。」
「えぇ...?」
同じ氷魔法使いだから互いに惹かれあって...っていう関係じゃなかったの...?だとしたらどうやって一般人と変わりないヒョウさんとこの地を統べる女帝のアイレーンさんが出会えたのかな...?
「さ、そんな事よりも早く行こう?」
「...そうですね。まだ聞きたいことがありましたけど、アイレーンさんに聞けることですし...。」
アイレーンさんと会ったらまずこの話をしてみたいところだ。...それはそうとして
「...なんでまだ私の手を握ってるの...?」
「なんでって...繋ぎたいから?」
「そうですね。」
「えぇ〜...。両手が塞がると戦えないんだけどなぁ...。」
「大丈夫よ!私が何とかするから!」
「わ、私も頑張ります!」
「うーん....。」
「「...だめ?」」
「はぁ...もぅ分かったよ...。」
私の負けだよ...。そろそろ上目遣いにも慣れないといけないなぁ...。
───────────
───────
約1時間ほど歩き、私達は魔物プレイヤー達が狩場にしている道路までやって来た。ここは風があまり吹かない比較的穏やかな環境だからか、魔物も魔物プレイヤー達も結構見かけた。中でもこれ大丈夫かと思ったのが犬獣人のプレイヤーと犬型の魔物が互いに互いの肉を食いちぎっていたことだ。傍から見ていると共食いっぽくて、ね....。ちなみに動物が二足歩行になっている姿をしているのを獣人と言うらしく、その名前の前に元となる動物の名前がくるらしい。例えば、犬をモデルとしたのなら犬獣人。トゥエティーの街で見かけた二足歩行の虎も虎獣人。そしてなんとその頭の上に乗っていた鷹だか鷲だか分からない鳥っぽかった動物も鳥獣人プレイヤーだったのだ。
「ここからは『氷帝の結界』があるから僕の真後ろを着いてきてくれ。決して逸れるなよ?もし1歩でも逸れたらどうなるか分からないから...。」
「は、はい。」
先程までの悠然とした態度ではなく、真剣といった表情で忠告をするヒョウさんに私達はより一層警戒を深める。...これから山岳地帯に突撃だ。
───────
「フシュゥゥゥ...フシュゥゥゥ...!!」
「《サンダーファイア・マイン・ストライク》!」
───バチヂヂヂッッ!!!ゴォオオオオォオオオ!!!!
紫電ならぬ赤電。赤く染まった雷は1箇所に集まり、敵を穿つ。氷を撒き散らしている相手は吐き出した氷ごと燃やし尽くされ、絶命した。
「...。」
すず強くなりすぎじゃ...?




