第399話 生活必需品
「そういえばこの街ってそこまで寒くないよね?」
「多分結界か何かで風とか防いでるんじゃない?だって雪は積もってるからね。」
「そうだねぇ。」
「雪という言葉自体は知っていましたが、この目で見るのは初めてでした。なんだかフワフワで可愛いですよね。」
雪で目をキラキラさせてるアリスの方が可愛いと思う。
今、私達はトゥエティーの街を散策している。今まで旅してきた街は比較的温暖な地域だったのであまり代わり映えのない...もちろん各地域によって建材は違うけど家の構造とかは似ていたりしていたのだ。それに対して、この街は雪を落とすためか、屋根が高い家ばかり。それだけでもかなり見違えて見えるのが不思議だ。
「シャベルが売ってる?...あまり売れてないみたいだけど。」
「冒険者用って書いてある...うーん...雪をかき分けるためってこと?」
「ここの国は雪で包まれてるから?」
あまり売れていないのは長く使えるから一度買えばもう一度買う必要はないからだろう。私達も1つぐらい買っておいてもいいかもしれない。
「嬢さん達それ買ってくれるんかい!?いやー!ありがたい!在庫が余りすぎててねぇ!5000Gだよ!」
「えーと...はい。」
「毎度あり〜!」
店の奥からちょこちょこと出てきたのは私よりも小さな店主だった。...なんて表現したらいいか分からないが、二足歩行の犬...?だったことに驚いたが、可愛かった。
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大きなシャベルを買ったあとは武器や防具、アクセサリーなどのお店を見て回った。その中でこの街で一番人気なのは炎の魔石が付いた装備らしく、アクセサリーに関しては日常生活にも使えるから常に売り切れ状態とのこと。武器を鑑定してみるとどれも武器スキルに《火炎斬り》があった。防具にもパッシブスキルで《炎の鎧》とあり、2つとも炎を出すスキルなので、アクセサリーにも炎を出すようなスキルが付与されているのだろう。
「ぅゎ...って...れって...ヤネたんじゃ...?」
「マジかよ!...っと気づかれ...。」
一瞬私の名前が聞こえたのでそちらを振り向いてみると、二足歩行の虎とその頭の上に乗っている大きな...鷹?鷲?でもないなにかかっこいい鳥?がこちらを見ていた。
「あやは有名だからね。」
「そ、そうなの...?ここって魔大陸だよ...?面識ある人なんていないんだけど...?...マオさん以外。」
「掲示板があるからね。それに第1回イベント優勝したのがこんなに可愛い子なんだもん。有名になって当然でしょ?」
「かわっ!?...当然、なのかなぁ...?」
イマイチよく分からないが、この街でも今までの街と同じような視線を向けられそうだなぁ...。
「あ!そうだった。炎の魔石で思い出したけど炎の魔石買っておかないとね。」
「うん。常に暖かいからカイロとして使えるし、火打石としても使えるから便利だからね。」
これは門番さんに聞いた話。炎の魔石はこの国では生活必需品。...私たちの世界だとスマホと同じかな?何をするにしても炎の魔石が必要だから各家に最低10個は置いてあるそうだ。だから私達もこれからのことを考えて最低でも人数分は確保しておきたいところ...。
「その話聞かせてもらった!!」
...なんか既視感...既聴感?




