第396話 銀世界
「よし。出発するよ!『同期』!」
───キィィィインンッッ!!
前にハルカちゃんから教えてもらった方法で空島に意識を預ける。そして、今いる...ダルニア国から遠く離れた位置にある魔大陸に向けて出発した。今はまだそこまで寒くないので防寒具は着てないが、向こうに着いたら天空にいるのも相まって凍え死ぬほどの寒さになるだろう。
「私ブラックアイがどんな姿をしてるのか、気になってたんだよね。」
「ブラックアイ...あの伝説の大陸ですよね?」
「えぇ。ガンヴァント国の王都の図書館でたまたま見つけてからずっとね。」
「ブラックアイと言えば、オリハルコンですね。」
「私の体に使われてるやつのことだよネ?」
「「「え?」」」
あぁ...そういえばアイリスがオリハルコンや擬似ヒヒイロカネで造られたホムンクルスだってことをアリス達に伝えてなかった...。だってアイリスってば見た目は完全に人だから...。
「ほらこんな感ジ。」
そう言ってアイリスは体の色を元のオリハルコンやヒヒイロカネの色...黄金色に戻した。
「「「ええ!?」」」
「ほ、本当にホムンクルスでした...!?」
「で、ですがオリハルコンはどう手に入れたのですか...?」
「アイリスは...人間じゃないの〜...?」
「そういうメルも人間じゃなくてスライムじゃン!」
「そういえば〜!」
「オリハルコンはとある大会の優勝賞品で貰った物なんだよね。」
「そのような大会があったんですね...。...優勝賞品がオリハルコンの大会っていったい...?」
アンナさんの中で謎が残ってるみたいだけどこれ以上の説明は長くなるので心の中でごめんなさいと謝っておく。
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───40分後
「...ん?なんか大陸が見えてきたわよ?もう魔大陸に着いたのかしら?」
「...魔大陸到着予定時間を遥かに下回っているので恐らく別の大陸でしょう。そして、あの大陸が先程皆さんが話してらっしゃったブラックアイという大陸なのでしょうね。」
「ふーん...。でもなんか黒いモヤ?霧?で覆われてるわね?」
すずの言った通りブラックアイらしき大陸を囲うようにドーム上に黒い霧がかかっている。まぁまだ大陸の一端しか見えてないから全部覆われてるかは分からないけど。
それと、すずとハルカちゃんが話し合ってるのがなんかすごい違和感がある...。
「どうするのあや?」
「...なんだかあの霧にぶつかったら嫌な予感がするから迂回しようかなって。」
「そうね。どう見ても結界とかそんな感じよねあの霧。」
そうして私たちはブラックアイの外周を回って、半周したところでブラックアイを離れた。ブラックアイはやはりドーム上の黒い霧に覆われているみたいだった。そして、霧の中からちらりと見えた限りだと、白い...というより灰に近い色をしている土地と燃え尽きたあとの色をしている赤黒い色の土地の2つの土地を見つけることが出来た。いつかまた行ってみたいけど、霧が怖いなぁ...。
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「さ、寒い!」
「ぼ、防寒具買っといて良かったわね...。」
「寒いです...アヤネ抱きしめても良いですか...?」
「...と言いながら抱きついてるアリスになんて答えればいいのでしょうか...。」
「わ、わわ私はへへへ平気ですけけけどね。」
「すごい震えてるけど...。」
「真っ白だ〜!久しぶりだ〜!」
「ここが魔大陸...白い景色は綺麗だネ...!」
対して寒さとは無縁のアイリスとメルは互いに嬉しそうにしている。
「じゃあ降りよう。《ソイル・オペレーション》」
そして空島に来た時に使った方法で地上に降りようと思ったんだけど...
「...動かしにくいなぁ...。」
買った防寒具に穴を開けてそこに翼を通していたのだが、翼が動かしにくい。かと言って穴を大きくしてしまえば寒すぎてこれまた体が動かなくなる。
『...天力で体を覆えば寒くなくなる。』
『っ!ありがとうスカーレット!』
『ん。どういたしまして。』
スカーレットの助言でなんとかなりそうだったので、すずに防寒具の穴をナイフで広げてもらう。なんかすずが「...背徳感が」とか言っていたが、一体なんの事だろうか?
強風に煽られながら地上に降り立った私たち。そこは右も左も分からず、吹雪で視界が真っ白な一面銀世界だった。
次回マップ出します。




