第391話 衰弱
「スキルを試したいけどもう寝ないと...ふぁぁ...ん...。」
刀を造り上げたかったから頑張ったが、現実世界ではもう夜中の3時だ。ここにきて精神的な疲れがどっと押し寄せてくる。
「っとその前に...アンナさん寝てる...!?」
「んぅ...。」
さっきは立ちながら主であるアリスを守るため、周囲を警戒していたと思っていたアンナさん。近づくと実は寝ていたらしい。起こさないようにそっと近づき、アンナさんの膝を折り畳み、アリスの隣に座らせる。空島は寒いから外套を被せて、私はログアウトしようとする。
「あれ...?すずもいたの?」
アイリス達とどこかに行ったのかと思っていたすずはなんと鍛治場から死角になるところで壁に寄りかかりながら寝ていた...というよりログアウトかな?
ここまで来たらすずも一緒に座らせないとだよね。という訳ですずもアリスの隣に座らせて、私もすずの隣に座る。
「...おやすみなさぃ...。」
─────────
─────
「くぁぁ...。」
珍しく大きな欠伸をしながら起きた私は、お父さんが作り置きをしてくれた朝ごはんを食べてから美月ちゃんと一緒に学校に向かった。
『...彩音。あまり遅くまでやり過ぎるなよ。』
『はーい。』
ちなみに出かける前に昨日のことをお父さんに怒られてしまったのは内緒。
───────
─────
最近は文化祭の時の興奮が収まって、元通りの日常に戻ってきたがそれでもまだ文化祭の時の話とかしている子が多かったりする。まぁまだそこまで期間が空いてないからだけどね。ちなみに私達...というか私とすずとの間で文化祭の時の話をすることは一切ない。...理由は分かるでしょ?
相変わらず私はすずの膝の上で授業を受けているが、特に咎められることもなく...なんで?後ろの席の子達が可哀想だと何度か言ったんだけど...後ろの子達がいい笑顔で鼻血出しながらグッと親指を突き出すのはどうなのかと...。
で、午後には眠たくなってうつらうつらとなりながら授業を受けてたんだよね。...だってすずがゆりかごのように揺らすから食後の後だと眠たくなっちゃうんだもん。
─────
───
「...今思うと夜更かしの原因ってお昼にたくさん寝たからじゃ...。いや、言い訳は良くないよね...。」
現在はセカンダリア・オンラインにログインし、昨日造った混沌の天魔刀の試し斬りをする場所を探している。できれば魔物がいればいいんだけど、恐らくミツルさんに倒されていると思う。あれだけ私が造った剣をもらって嬉しそうにしてたんだもん。絶対魔物討伐に出かけてるよ。
「...ここら辺...いい感じじゃない?」
岩肌が露出しているでこぼこの地形を見つけた。ここでなら強そうなスキルを放っても問題はなさそうかな?
「よし...まずはスキルの鑑定からかな。1つ目は...《鑑定》」
■■■■■■■■■■
【名前】武器スキル:《暗黒の刃》 消費MP:毎秒200
【効果①(LV.1)】暗黒のオーラを纏い、何度も攻撃できる。斬られた者に『状態異常:極・衰弱化(中)』を付与するが、攻撃を外すと自らに『状態異常:極・衰弱化(中)』が付与される。クールタイムは1分。
【効果②(LV.5)】2回目以降の攻撃が連続でヒットすると相手の体力の3%を吸収し、衰弱化が進む(中)。
【効果③(LV.20)】5連続で攻撃がヒットすると相手の体力を全て吸収する。
LV.1:STR+30
■■■■■■■■■■
【名前】武器スキル:《闇の刃》 消費MP:1000
【効果①(LV.1)】闇のオーラを纏い、1度だけ攻撃することができる。斬られた者に『状態異常:死の宣告』を付与するが、攻撃を外すと自らに『状態異常:死の宣告』を付与される。
【効果②(LV.5)】『状態異常:死の宣告』の悪化が早くなる(中)。
【効果③(LV.☆)】二度攻撃することができるようになる。
LV.1:STR+30
■■■■■■■■■■
上のやつが新しくなったスキルで下のやつが前のやつだね。結局死の宣告がどんなものなのか分からなかったけど、今思えば鑑定すれば良かったよね。
□□□□□□□□□□
状態異常:死の宣告
【説明】呪いの類であり、その名の通り罹った者は程度にはよるものの制限時間内に解除できなければ死に至るものである。ちなみに制限時間だが、普通の人族が受けた場合、(微弱)が1時間、(弱)が30分、普通のものが15分、(強)が7分、(極大)が3分であるということが確認されている。
□□□□□□□□□□
状態異常:極・衰弱化
【説明】罹った者は時間経過で衰弱していき倒れ伏して動けなくなり、最終的に死に至るものである。さらに、呪いの類ではないため解除は不可。ちなみに制限時間だが、普通の人族が受けた場合、(微弱)が3分、(弱)が1分30秒、普通のものが45秒、(強)が22秒、(極大)が10秒であるということが確認されている。
□□□□□□□□□□
「うわぁ...なかなか...すごい...えげつない...。」
言葉が出ないほどにえげつない物だった。というか極・衰弱化がやば過ぎる。だって今のこの刀で人を斬れば...斬るつもりはないけど、斬っちゃったら45秒で絶対死んじゃうってことでしょ...?
...なにそれこわい。
...死蔵されそう。




