第360話 蒼の天魔遺跡
「...何も無くなってる。」
元々天魔石による衝撃波で崩壊したウィンズさんの研究所が、遺跡が突然現れたことによって跡形もなく消えていた。
遺跡の周りにはこの辺りに生息するようなロックロックドボアではなく、ウォータセイバーという水属性の人型ゴーレムが闊歩している。それも遺跡周りだけでなく、この空島全体にだ。たくさんいたはずのロックロックドボアはいったいどこに行ってしまったのか...。
『...とりあえず入ったら?』
『うん。』
突然目の前に現れた古い遺跡。興味が湧かないはずがなかった。それにこの現状をなんとかするきっかけがあるかもしれないからね。
そうして私は慎重に遺跡の入口へと歩を進めた。
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「んぅ?」
入口を抜けると、何やら不思議な感覚が体全体を包んだ。
『...結界。程度は低いから体に影響はない。』
『なるほど...?』
スカーレットがそう言うんだから大丈夫なのだろう。気にせずに先へ行こう。
「フワレラワンレン!」
「フレンレラワワレ!!」
「ウォータセイバーか...!」
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【名前】ウォータセイバーLV.100 状態:正常
【弱点】天魔核・青
【苦手属性】雷
【説明】水属性のセイバー族。蒼の天魔遺跡を守護するために存在するウォータセイバー達は水属性の魔法使用に優れており、水魔法を纏った装甲を持っているため防御にも優れている。斬撃耐性は高めだが、体力は少なめ。
HP:5740/5740
MP:24417
STR:4036
VIT:6858
DEF:5690
AGI:3225
INT:8741
DEX:6496
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体力が少ないから簡単に倒せるけど、全身が厚い装甲で包まれているような感じなので、結局は装甲を壊さないとダメージが入らないから体力が低い代わりに装甲が硬い魔物というイメージを持っている。
「「《フワルラレワレン》!」」
「!」
────ビュビュビュビュンッ!!
細い水のビームを避けて、相手に接近する。この魔物に対しては刀は使わない。というより使えないが正しい。だってロックロックドボアは岩の装甲の中に身があったけど、このゴーレムは中に身なんてない。だからいくら装甲の隙間を刀で突こうともダメージは与えられないのだ。
そして、ゼロ距離まで近づいたらそのまま相手の胸に拳を叩きつける。
───ズガンッ!!
「フラランワレワン!?」
「フンワレラワン!!!」
「たぁッ!!」
───ガァァンッ!!
胸を貫いたあと、襲いかかってきたもう一体の方の攻撃を避け、頭部を蹴りつける。怯んだところでまた胸を貫いた。
「...人型だけど甲冑っぽいから大丈夫かな。」
プレイヤーなら死んでも現実世界では死なないから精神に受けるダメージはないけど、この世界に住む人を殺すとなると話は別だ。それは魔物...特に人型の魔物に関しても同じ。今回は人型だけど甲冑と同じく中身がないから大丈夫だった。
その後、薄暗い中にポツリとある灯りを頼りに迷路のような遺跡を進んでいった。結局最深部らしきところに着くまでウォータセイバー以外の魔物と出会うことはなかった。まぁレベルの違いはあったけどね。
『...最後まで気を抜かないでね。』
『もちろんだよ。』
心配性なスカーレットにそう返事しながら私は最深部へと足を踏み入れた。
『...別に心配性じゃない。』
『ごめんね?』
『...ん。』
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────ガゴンッ...!
「...扉が閉まった。」
『結界の中心部はここ。守護魔物がいるはず。気をつけて。』
『うん!』
─────ガガガガガガガガッ!!
何かの祭壇のような場所に水色のゴーレム...ウォータセイバーに似た巨大な魔物が現れる。
「《鑑定》」
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【名前】マリンガーディアン《BOSS》LV.125 状態:正常
【弱点】天魔核・蒼
【苦手属性】雷
【説明】水属性のセイバー族を纏めあげるボス種。蒼の天魔遺跡の最深部を守護するために存在するマリンガーディアンは海属性の魔法使用に優れており、海魔法を纏った装甲を持っているため防御にも優れている。斬撃耐性は高めだが、体力は少なめ。
HP:36540/36540
MP:69325
STR:8620
VIT:14379
DEF:12640
AGI:6345
INT:19046
DEX:17640
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「んー...。」
強いなぁ...。




