第358話 ラグナロク
「はぁッ!」
「ブギィィイ!?!?」
「...もうすぐ5時間経つなぁ...。そろそろ戻らないと。」
私は今研究所の近くで魔物を狩っていた。天魔石制作の邪魔をされないために魔物を狩ることにしたのだ。5時間は暇だったからね。ちなみに天力は注ぎ過ぎだと言われたので天力不足は大丈夫だ。
と、そんなことを考えながら研究所方面に歩き出した瞬間...
───ォォォォォォォオンン......!
視界が一瞬だけ白色と黒色だけになり、すぐに元通りになった。研究所で何かあったのだろうか...?
私は急いで研究所に走り出した。
───────
────
───ォォォオン...ォオオォオォンッ...!
「な!?」
「アヤネか?やっと来たか!遂に...遂に完成するぞ!」
「こ、これが天魔石、ですか...。」
「あぁ!もうそろそろだ!」
────────────...!!
「──っ!?」
「なにを──!?」
先程とは違い、今度は視界が真っ白に染まった。私は反射でウィンズさんに抱き着いてその光から庇うように地面に押し倒した。
───オオオオオオオオオオンンッッッ!!!
凄まじい熱量と衝撃波により、私の体力がどんどん減っていく。熱い。とてつもなく熱い。背中が焼けるよう...いや、実際に焼けているのだろう。
────ッ......!
もう少しで体力が尽きるというところでその熱と衝撃波がピタリと止む。私が目を開け、熱と衝撃波を発していた物体の方へ顔を向けると、そこにはテレビで見たことあるようなダイヤモンドの形をした人が1人乗れるぐらい巨大な水色がかった虹色の宝石...天魔石が浮かび、輝いていた。
「やった...やったぞ...ついに...ついに俺は...!!」
ジワジワと声の大きさを上げていくウィンズさん。そこには喜びが滲み出ている。だが...
───ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ!!!
「な、なんだ!?」
「地震!?」
突如として地面が揺れる。経験したことはないが、視界がブレるほど大きな地震だった。そして後に知ることになる。この地震は世界規模で起こっていたということに。そして私は...いや、私たちはとある事に気づいていなかった。
「アヤネ!ありがとうな!俺はやっと天界に帰ることができる...!」
「それは良かったです。けど、研究所はどうするんですか?」
「ん?あれはアヤネにあげるぜ。俺にはもう必要のない場所だからな。」
「えぇ...。」
正直に言うと困るんだよね...。研究所か...。
「じゃあそろそろ俺は行くぜ。」
「ちなみにどうやって行くんですか?それに天界の場所は分かるんですか?」
「俺は天使だぜ?天界の場所は本能で理解できてるさ。それで行き方だが、まずはコイツに乗って、その後は魔力でちょっと押してあげればその方向に進んでいくさ。...最初に見せただろう?」
「なるほど。」
たしかに宇宙空間にあるような感じで動いてたからね。
「元気でな!」
「あ、はい。ウィンズさんも!」
「おう!」
ウィンズさん...なんだか色んな意味ですごい人だったなぁ...。
と、そこまで考えて、ふと横を向いた時に気がついた。
───ここから地平線って見えたっけ...?
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その日、謎の衝撃波によって世界が混乱した。その後の大きい地震によってその混乱は大規模になった。
それを見ていた人はこう言う...
「終焉だ...。」と。
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「な、なにこれぇぇぇええ!!?!!?」
1人の少女の悲鳴が空に響く。
な、なんで...!?なんで私は
───空にいるの!?!!?
それはラグナロクだった。
※ネタバレ
ラ○ㅇタは本当にあったんだ。父さんは嘘つきじゃなかった!




