第351話 前途多難
【アヤネちゃん】拡散しろぉぉぉお!!【鍛治屋開くってマ?】
42.名無しの上級槍使い
いずれ開くとは思ってたが、このタイミングか。場所は鍛治の国ダルニアの王都ダルシムらしいな。ちょうど同じ国のハッチルンドにいるし行ってみるか。
43.名無しの中級魔物使い
≫42
まじか。俺もハッチルンドにおるわ。一緒に行こうぜ!というか、そのアヤネちゃんが開く鍛治屋の情報ってどこ情報なん?ソースぷれあぜ
44.名無しの上級大盾使い
≫43
アヤネたんを愛でる会の会員が広めたらしいぞ。たしかそう言ったスレがあったはず。詳しくは調べてみな。あとお試し期間?とやらで鍛治屋開くらしいから早めに行っといたほうがいいかも?あと俺もハッチルンドにいるからついてっていいー?
45.名無しの槍使い
≫43≫44
もちおk。アヤネちゃんの造る武器はどれも素晴らしい物だって聞いてるし楽しみだなぁ...。
46.名無しの上級双剣士
でも拡散したらめっちゃ人来るし受注してもらえるんかな?
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「あの鉄剣ください!!」
「ひ、ひぃ...!」
「いぃやあの鉄剣は俺んだ!!」
「なんだと!?俺が先に頼んだ!!」
「あ、あの!け、喧嘩は...。」
「アヤネたん!この魔鉄製イヤリングが欲しいんですが!」
「私はこれが欲しいです!!」
「私も私も!!」
「しょ、少々お待ちください!!」
「アヤネちゃん!僕のために魔鉄製の手裏剣と苦無を造ってくれませんか!?」
「制作依頼はそっちにいるすずにお願いします!」
「分かりました!」
鍛治屋開いてからまだ5分なのになんでこんなに人がくるのぉ...?口コミとかまだ何も無いのにぃ...!それにもし仮に口コミがあったとしてもこんなに来ないでしょう!?
「ね、ねぇすず何かした...?」
「いえ...今回ばかりは私は何もしてないわ...。」
武器制作依頼を私の代わりにメモしてくれているすずに尋ねてみるが、焦燥しきった顔しか見せなかった。確かに何もしてなさそうだ...。あ、でも昨日下見に来た時やけに視線を感じたような...?
「これください!!」
「25万Gになります!」
「うぇ!?」
「ど、どうしました?」
「魔鉄剣なのに安いですね!?」
「そ、そうですかね?」
「まぁ買う側からしたら有難いですけどね!」
「あ、はい。ありがとうございました!」
とりあえず昨日は鍛治師ギルドで鉄剣やら槍やらメイスやら思いつく限りの装備品を造れるだけ造ったのだが、値段設定はすずに任せたのだ。私としてはただの魔鉄剣が25万Gなのはいくらなんでも高すぎると思っていたのに、いざ売ってみるとみんな安いですねって言ってくる。そんなにお金がインフレしてるのかな...?(※武器性能が凄まじいだけ)
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「や、やっと終わった...。」
「受注依頼制限して良かったわね...。」
「た、確かに...。」
実は当初の予定では特注の武器の依頼に制限をかけるつもりはなかった。すずが開店前に制限をかけようと言ってきた時は何でだろうと思ってたけどまさか、ね...。...だって初日だし、そんなにこないだろうと思ってたし...。だけど予想とは裏腹にお客さんはすごくたくさん来て、依頼もたくさん来た。...その依頼の数はなんと驚異の224件。1日で来るような依頼の数じゃないよ...。ちなみに制限は20件。少ないと思う?
特注の武器の場合、まず考えるのは使う金属や魔物の素材。お客さんの方から提供してくれるのであればその素材を取りに行く手間も省けるしお金もそんなに取らない。だけど、今日は初日だ。そんなシステムなどお客さんは知らないだろう。それに1つ造るのにも結構時間がいる。しばらくは依頼取るのは止めようかな...。
「この調子で毎日...?」
「...そうなるわね。」
「私...無理かも。」
初日で早速心が折られた。だって依頼の224件はあくまでもお客さんの内のごく1部。その倍以上の既製品を求めるお客さんがいる訳で...。それらも私たちじゃ数が少なすぎて対応しきれない...。アイリスやメル、アリスちゃん、アンナさんも頑張ってくれたけど、人が多いのをいい事にどさくさに紛れてセクハラをする人もいた。それに特注の制作依頼もできないとなると批判する人も出てくるだろう...というか絶対出てくる。
「...この20件分が終わったら鍛治屋を辞めよう。」
「...そうね。」
私にはまだ早かったようだ。お試し期間中で良かった...。次に開く時は都会じゃなくて密かな所でやりたいな...。まぁここも一応王都の郊外なんだけどね...。
_人人人人_
>大 失 敗<
 ̄Y^Y^Y^Y ̄
ですがご安心ください。鍛治屋はいつかちゃんと開きますので。




