第343話 ありがとう...
「っ...!」
ここでようやく気づいた。相手だけでなく私の動きも遅くなっていることに。つまり何も出来ない。どうしよう。
『...少しは考えて。』
『うぅ...。』
目に天力を纏わせるとスローモーションになった。...ならばそれを腕や足に分散させて纏わせてあげればスローモーションじゃなくなっちゃうかもだけど、それなりに動けるのでは...?
試しに目に纏っている全ての天力を半分に分け、その半分を目に、もう半分を4分割して手足に纏わせた。すると、先程よりは相手の動きが速くなったけど、スローモーションなのは変わらず、私は相手よりも速いスピードで動くことができるようになっていた。
『ありがとうスカーレット!』
『...私何もしてない。』
『それでもだよ。』
何はともあれ、これで相手のスピードに対応することが出来るようになった。
「ふんッ!...なッ!?」
「はぁッ!!」
────ズドドドドドドドンッッ!!!
何やら驚いた顔をしているロッキングエレファリオスさん。通常なら反応できなかった攻撃が手に取るように分かる。そんな攻撃を空中で降下して避け、下から顎目掛けて拳を叩き入れる。
「が...ぁ...!」
意識が飛んだらしく無抵抗で落下していくロッキングエレファリオスさんの一瞬見えた目は白目をむいていた。これは勝ったかな?
────ヒュゥゥゥ.........ズドォォオオォオンンッッ!!
しばらく自由落下をし続け、遂に地面に激突。ブワッと土煙が辺りを包み、視界を妨げる。
「ガァッ...!!はぁぁ...はぁぁ......!」
「!?」
遠くからでも分かる叫び声。それに荒っぽい息遣いも聞こえてくる。まさかあの高さで生きているとは...。でも...
「マダダァァ!まだ終わら───!!」
「もう終わり。」
「──!?」
───ズシャッ!!
土煙による視界の悪さを利用し、相手の背後に迫る。そして右手に全ての天力を纏い、心臓を一突きした。奇襲だったため硬化するスキルの使用も間に合わず、そのまま体を貫けてしまった。
「かふっ...ぞうが...わだじは...負げだの、が...。」
「...。」
「こございきん...負げなしだっだからな...少、々...調子に乗っでいだようだな...。ありがどうアヤネ...。次に会っだ時は...覚悟するんだな...!」
「...はい。」
そう言ってロッキングエレファリオスさんは笑顔のまま目を閉じ、動かなくなった。
《──試練の塔クリア──》
《──名称:肉岩の塔──総2階(31階〜45階)──》
《クリア者:アヤネ》
《──預かっていた装備品を返却致しました──》
「あ、装備返ってきた...。」
丁度いいし最近見てなかったあの紙でも見ようかな。
──────────
【龍神の秘剣・闇】
【材料】
・✓ヘルウルフキングの瞳と血
・✓ボスダークパラボラティアの角と血
・✓ロッキングエレファリオスの宝核と血
・ノワールドラゴンの硬龍鱗と血(new!)
・???
・???
・???
・???
・???
・???
・???
・???
・???
・ヒヒイロカネ
・✓オリハルコン
【儀式】
・オリハルコンとヒヒイロカネで剣を造る。
・上記の魔物の素材で剣の鞘を造り、混ぜた血を煮詰めたものに刀身を漬ける。(new!)
・???
・???
【備考】
・この世界の創造主である龍神の力の1部(闇)を持つ剣。
・刀身を抜くと近くにいる者が恐慌状態に陥る。(new!)
・???
・???
──────────
つ、次はノワールドラゴン...?なんかすごい強そうな名前だね...?
あと10回ぐらいこれが続くのか...。大変だなぁ...。頑張らないと...ってそうだった!早く帰らないと!
そうして私は試練の塔を出て、王都ダルシムへと向かったのだった。
本編と関係ないんですが、皆さんはどの時間帯に投稿されると嬉しいとかあるんですかね?...まぁ今更ですけど。




