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第338話 役立つのは己の肉体のみ




確かにアイリスの通り、コンマ数秒を争うような対人戦ではこのタメ攻撃は役に立たないし、魔物相手には有効だろう。固くて動きが鈍い魔物には特にね。逆に私のような刀や剣を使う人はこの固くて動きが鈍い魔物は苦手だったりする。なぜなら固い魔物は斬・刺突攻撃は効かず、打撃か魔法でしかダメージを与えにくいからだ。その点アイリスのスキルを使えば、同じ箇所にチマチマと斬撃を当てて固い皮やら鱗やらを削らなくても、それらの攻撃力分を1回に込めて攻撃した方が確実だろう。それに耐久の面も、攻撃力が高ければ高いほど刃こぼれがしにくくなったり耐久が減らなくなったりするとすずが言っていた。



...っとそんなことを考えている間に王都ダルシムに到着したようだ。



「ねぇねぇあや〜。」

「んー?」

「このまま王都を抜けて試練の塔に行く?それともここでちょっと滞在してから行く?」

「うーん...今日はまだ時間があるからそのまま行こ?」

「分かった。」

「私もまだまだ頑張るヨ!」

「私も役に立つからね〜!」

「皆ありがと...。」



そうして私たちは王都に入ったものの、大通りを通るだけで王都を出たのだった。



─────────

───────



「え...なにあの魔物...。」

「象...?人...?...まるで象版ケンタウロスね。」

「確かに...。」



道中下半身が象で、上半身が人間、そして頭が象っぽい何かの魔物の群れと出会ったが、難なく...とはいかなかったが突破した。どうやら見た目によらず斬撃は通りにくいようだ。



「止まれ!」



天を貫く試練の塔の周りをグルグルと回って、ようやく目の前までやって来れた。試練の塔の門番さんに止められたので私たちは少しだけ警戒しつつ足を止めた。



「分かりました。」


「女3人...とそこの黒いやつで旅か?」


「そうですね。」


「目的...は試練の塔に入ることだろうな。本当に大丈夫なのか?それに1人でしか入れないが...。」


「もちろん分かっていますよ。入るのはあや...この子です。」

「は、はい...。私、です。」


「ふーむ...。お前さん女だったのか...どれ。ちょっと抜きな。」



そう言われ、私は刀を抜───



───ブゥゥゥンッッ!!


「っぶない...!」

「うぉっ!よく避けたな!!合格だ!」

「は、はぁ...?」



刀を抜こうとした瞬間、門番さんから容赦ない蹴りが飛んできた。なんとかしゃがむことで回避できたが...。いったいなにがしたかったのか...。



「武器に頼るやつは不合格だった。この試練の塔は己の肉体だけが頼りだ。...あぁもちろん武器も()()()()()()()()だろうがな。」

「この蹴りを躱せたお前さんは合格だ。」

「なるほど...?」



これは大分ヒントをもらった。ここの試練は肉体的な試練だ。...まぁ今までも十分肉体的にキツかったけどね...。



「じゃあ私行くね。」

「うん。行ってらっしゃい。私たちは先に王都に行ってるわね!」

「うん。」

「行ってらっしゃーイ!」

「行ってら〜!」

「行ってきます。」



こうして私は試練の塔に入っていったのだった。



────────────





《肉岩の試練の塔に挑戦者が現れました》


《特殊設定を確認──完了──》


《アバター情報を記録中──記録しました──》


《全装備を一時的に回収──回収不可装備あり──》


《他の試練との重複を確認》


《眼帯のみの設定に置き換え──完了──》


《エネミー設定──データ収集中──》


《エネミー設定──完了──》


《レベル設定──計測中──》


《レベル設定──LV.190に設定完了──》


《ボスエネミーレベル設定──LV.200に設定完了──》


《───》


《─》



────────────

───────




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