第326話 踏んではいけない一線
────マオside
「行くぞ!!」
「はいっ!」
「......。」
俺が気合いを入れて声を上げると、アヤネさんも乗ってくれた。彼女は両手に武器を持っている...所謂二刀流というやつだ。その内の片方が恐らく太陽の剣で間違いないだろう。対して俺の方は魔大剣が4本のゴリ押しスタイルである。攻撃こそ最大の防御だと思っている俺は第1回イベントでの彼女の活躍から、油断はできないと感じているが、俺もあれから相当強くなった。きっとこの魔大剣4本で押し切れるだろう。ちなみに俺は種族の関係上、手を4本持っている。STRも結構高めだから大剣も難なく持てる。
「「...。」」
...ん〜...どう攻めたものか...。ヨイチは既に柱に隠れてアヤネさんを窺っているが、当然彼女の方もヨイチの方”も”警戒している。彼女は半々ずつ警戒しているのにも関わらず、威圧感が凄い...。こんな年端もいかないような幼い子が凄まじい殺気を放つのはどうなのか...。
「っ...!?」
「...。」
たった今彼女の殺気が全てこちらに向けられた。俺何かしたっけぇ...?で、でもこれでヨイチから気を逸らせたからいいだろう...いや良くねぇな!アヤネさんめちゃ怖ぇぇ...!?
「っ!」
────ズガァァァアンンンッッ!!!
「グヌゥゥゥ...!」
「...なんか馬鹿にされた感じがしましたよ。」
「なっ...んの事だァ!!」
───キィィィンッッ!キィンッ!ブゥンッ!!
2本の大剣で受け止めた太陽の剣。それを弾き返すとお返しとばかりに連撃をお見舞する。が、そのどれもが逸らされるか、避けられてしまう。なんちゅう反射神経だよ...。オマケに先程の攻撃も重すぎたしな...。STRも化け物ってどういう事だよ...。そういやこんなに小さな子が馬鹿力を発揮するのを間近で見たことなんてなかったなぁ...。
「むぅ...!」
───ギャァァァァアンンンッッ!!!
「ぅおわなんだぁあ!?」
一瞬消えたかと思ったら背後から殺気がしたので振り返ると、背後で太陽の剣を振るっているアヤネさんが。目がヨイチのいる柱に向いていたから恐らく矢を弾いたのだろう。俺も月の矢の速さを見たが、あれって弾けるようなもんなんか...?俺には光にしか見えなかったぜ...?しかもその時は目の前に岩があったんだけど、その岩が木っ端微塵になってたからな...?反射神経もそうだけど、やっぱSTRもやべぇわ...。
「でも小さい子に負けるのを良しとするほど俺はプライドが低くはない...!」
「...。」
「ぁぁ...。ぁぃっぉゎっ...。」
「っ───!?」
─────ゴォオオオオォオオウウゥゥッッ!!!
────ジュヮァァァァァア...!
なんとなく大剣4本を左側に持っていったらその全てが真っ赤に染まり、折れた。先程までは普通に打ち合えたはず...?
「ぁ...が...?」
───ズゥゥゥゥン...
さらには急に力が抜けて、両膝を地面につけてしまう。
熱い...!な、何があった...!?それに目の前にいたアヤネさんがいなくなってるわ...HPもなぜか1だけ残ってるわ...身体中に焼けた切り傷が無数にあるわでもう訳が分からない...。しかもなぜか体が震えてるし...。
「...いくらそう思っていても言っていいことと悪いことってあるよね?」
「は、はい?」
「あるよねぇ??」
「はい!!!...ょ、ョイチィ...?」
なぜかガチ説教が始まりそうだったのでヨイチの方をチラ見するが、全力で首を横に振って、柱に隠れてしまった。
───ズバンッッ!!
「ぐぁぁあ!?!!」
「よそ見は良くないよぉ?」
「ず、ずいまぜんっっ...!!」
か、体がさらに震えて、ま、まともにこここ声が出せせせない...。て、ててか頬をたた太陽の、剣で斬られ、たのにた、体力が1み、ミリも減っていないのはどどどういうことだ...?
「マオさんは先程何を言いましたぁ?」
「ひ、ひぃっ...。」
い、いったい俺は何を間違えた...?ん...?
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「でも小さい子に負けるのを良しとするほど俺はプライドが低くはない...!」
「...。」
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確かあの時から顔が怖くなったような...?まさか...!
「小さい子って言ってすいませんでし──」
「...。」
───スパンッ...
どうやら...合っていたようだ...。
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【名前】《刀堂流刀術》:仏の顔も三度まで 消費MP:????
【効果①(LV.1)】『同じ相手に対するストレスを我慢する』という行為を3度行うことで発動可能。発動すると、自身の攻撃速度、威力ともに5倍し、攻撃しても必ず相手のHPが1残る。さらに、相手に状態異常:恐慌を付与する。
【効果②(LV.5)】ストレスを耐え忍ぶと、HPが回復する。
【効果②(LV.10)】このアーツの所持者のMNDを2倍にする。
恐慌・・・状態異常の1種。状態異常:恐怖の上位互換。
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まさかの再登場...。
体がさらに震えたのは恐慌状態による震え+マオさん自身の震えですね...。
これで知らずにアヤネたんを幼女やら小さい子やらって呼んでキレられたのは2人目ですねぇ...。こういうのも徐々に対策されてきそうですね...。
ん...?あれ!?アヤネたん!?珍しいね?どうしてこ




