第324話 アーツ
────シュゥゥゥゥ......
ジークさんを青い炎の剣で右肩から真っ二つに袈裟斬りしたあと、私はホッと息を吐き出した。力を少しだけ抜いて剣の切っ先を地面に向けたが、地面が燃えたのですぐに剣を構え直した。
「...暑い。」
戦闘中、偽物を含めて太陽の剣は合計で10本が同じ場所にあった。さらに言えば、私は熱が篭もりやすい外套を着ている...それは暑くなるよね....。それにしてもジークさんの《変幻自在》は本当に凄い強いスキルだよね...。相手の武器の能力が凄ければ凄いほどジークさんも強くなれるからね。20%だけコピーできると言っても強いことには変わりない。現に太陽の剣をコピーされるとSTRが無限になっちゃうしね...。
「っ...!」
────ズダダダンッッッ!!!!
どうせ狙ってくると見て完全に気を抜いていた訳ではなかったため、即座に飛んできた月の矢に反応し、避けた。今度は1本じゃなくて4本も飛んできたから思わず大きく跳んで避けてしまった。まさか4枚同時に...しかも私の退路にも矢を飛ばしてくるなんて...と思ったけど、そういえばヨイチマルさんって1000本も矢を飛ばしてたよね...。
「私もこの剣で他のスキル使えたりするのかな...?」
と言っても私自身が持っているスキルというのがまず無...あれ?
────》《剣術LV.33》《────
「あるじゃん!」
1番最初っから使ってるスキルなんだけど、なぜかアーツが使えなかったんだよね...。でも太陽の剣なら行けそうな気がする。
確か前にすずが「こういうスキルは持つ武器によって使えるようになるアーツが変わってくるのよ」って言ってたっけ?刀だとアーツすら使えなかったからもしかしたら刀は剣の枠組みに入ってないのかなぁ?
とりあえず太陽の剣は名前にある通り剣だからアーツの発動はできるだろう。ちょっとどんなアーツがあるのか確認してみよう...。
『《剣術》のアーツが解放されました。』
《剣術LV.33(使用可能なアーツの数:6)》
・炎斬(new!)
・ファイアフィールド(new!)
・リープスラッシュ(new!)
・獄炎放射(new!)
・蒼炎斬(new!)
・クロスバーン(new!)
んー?文字だけじゃどういうものか分からないね...。ちょっと最初のやつで試してみよう。
「《剣術・炎斬》!」
───.........
「...あれぇ?じゃ、じゃあ《剣術・ファイアフィールド》!」
────............
「...あれれぇぇ???」
なんで発動しないのかなぁ...?もしかして太陽の剣だからダメだったりする...?でもヨイチマルさんは4本飛ばして...まさかスキルやアーツを使わずに飛ばしてきたの...!?
「...近づいてからも苦労しそうだね...。」
「あや!戦闘は終わったみたいだね。」
「うん。皆もそろそろおわりそうだね。あれ?ガディウスさんは?」
「...。」
「あっ...。」
私が加勢しに行くと、恐らく矢が飛んでくるため、行かない方がいいだろう。まぁなぜか先程のジークさんとの戦いの最中は飛んでこなかったんだけどね。
「お〜い!」
「ん?メル?」
「こっちも終わったヨー。」
「あ、どーもっす。」
「まじっち...さん?」
「そーっす!太陽陣営なんで手伝いに来たっす。」
「なるほど...助かります!」
「一緒にブラキじゃっちも来てるんだけど、瀕死のキョウっちを連れて帰るって向こうに残ってるんすよね。」
「そうだったんだ...。」
戦闘前のキョウさんの反応から、きっとブラキじゃさんと仲違いして対立しちゃったと思うんだよね。でも介抱するってことは仲直りできたんだよね...?
「それじゃほかのメンバーも揃ったことだし先に進みましょうか。」
「うん!」
ガディウスさんやガディウスさんの仲間達の数人がいなくなってしまったけど、彼らがいなくても他の仲間達はちゃんと隊列を組んで歩いていた。すごいなぁ...。
《剣術》入手→刀を持っていたためアーツが解放されなかった→太陽の剣入手→『太陽の剣』の影響を受けたアーツが解放




