第321話 アメvsジョーキョウ
────アイリスside
「...私たちの相手は...キョウちゃんと...ダレ?」
「おっとこれは失敬。我の名はジョー───」
「──アイリス〜!私も加勢するよ〜!」
「メル。別に私1人でも良かったんだけド...まぁ...ありがト。」
「...これがつんでれってやつなのかな〜?」
「ツンデレじゃなイ!」
「...そろそろいいか?俺の名前はジ───」
「──特に貴女達には恨みはありませんが!ここで戦うしかないのは分かっています。正々堂々と戦いましょう!」
「モチロン!」
「そうだね〜。」
「...。」
あれ?あの大盾の人何か言おうとしてなかった?...気のせいか。まぁいいや。私の武器はこの呪・葉隠ノ雨大剣という剣。アヤネが造ってくれた愛着のある大切な武器だ。でもアヤネが造ってくれた私の体も大事なので守る時にはちゃんと防御に使わせてもらうよ。というか、最近のメルはなんだか私にベッタリのような気がする。前まではアヤネに執着してたような感じだったんだけどねぇ...。なんで私にくっついて来るんだろう。
「アイリス〜!私がサポートするからアイリスは派手にやっちゃって〜!」
「分かっタ!」
...まぁメルに頼られるのは嬉しいんだけどね。だってアヤネとスズカに対して頼られるところなんて道案内くらいだもん...。
「...キョウ。俺...帰りたいんだけどいいかな?」
「ダメです。」
「知ってた。...はぁ...。支援頼む。」
「了解です。《皆のアイドル》!」
「いい感じだ...!《完全無欠の城壁》!」
こちらが時間を無駄にしている内に、向こうは既に防御の体勢に入っていたようだ。相手は巨大な...まるで城壁のような黒い壁の向こう側にいる。しかも黒い壁の空いた隙間から覗くのは黒い砲身。ある意味当然といったように攻撃も備えた城壁は私の最大の力でも壊せそうにない。しかもあんなに巨大なのに元が盾だからか自由に動かせている。
────ドドドドドドンッッ!!!ドドドドドンッッ!!
「うわワっ!?」
「危ないよ〜!?」
私は大剣で斬り飛ばしたが、メルはスライムの体なので受けてもグニャリとなるだけで大してダメージを受けているようには見えなかった。
「アイリス〜!行っくよ〜!!《ウィンドブースト》!」
次いで私の体がメルのスキルによって浮かび上がる。手足で合計4つの常駐している小さな竜巻はスキルを受けているこちらが操作できるようだ。
試しにその辺をクルクルと飛び回ってみる。
───ヒュゥゥゥゥ......
「...おい。アイツら何してるんだ...?」
「私には...分からないですね...。」
「よシ!これでコツは掴んダヨ!メル!ちょっとの間耐えてて!」
「まっかせてよ〜!」
メルには砲弾に耐えてもらって、私は遥か上空にまで浮かび上がる。
「敵を目前として逃げ出すか!!うてぇぇぇえ!!!」
「《観客》!」
────ドドドンッドドドドドドドッッ!!!
下からの砲弾の雨...?の隙間からキョウちゃんのスキルによって呼び出された?全身真っ白な人型のような何かが空にいる私を追って飛んできた。幸いなことにそいつらは剣も何も持ってなかったので大剣を巨大化させて斬り飛ばせば手も足も出せなかった。
そして、その10mを超える大きさの剣を振りかぶって...
───ビュンッッッ...!!!
「《葉隠れの術》」
《ウィンドブースト》の力と重力、そして本来は『葉っぱの影に隠れながら相手を斬る』という一瞬だけ瞬間移動のような速さが出せるスキルを合わせることにより、衝突時の衝撃はやばいの一言だろう。
───ズガァァアアアアアアアアアンンンッッ!!!!
「くっ...!」
「きゃぁぁぁぁあ!?」
「ダメだったカ...!」
「これはキツいね〜...。」
だが、それを受けた黒い城壁は傷一つなく、堂々と立ちはだかっていた。
いつも能天気そうな声をしているメルもゲンナリしている様子だ。...どうしよっかなぁ...。




