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第312話 巨大化は...




この戦争は私たちの方が不利だ。これは考えるまでもなく、月陣営と対面するまでずっと攻撃され続けるから...。たしかにそれもある。だけど、私たちはこの世界の人間じゃない。つまりログアウトしなければならないのだ。ログアウト中は眠っている扱いになるため、攻撃され放題だ。その上ヨイチマルさんの攻撃で撃ち抜かれて終わりだろう。堅牢な壁でも建てれば別だが、そんなものは造れない。守ってもらうにしても限りはある。



そんな訳でそろそろログアウトしなければならない私たちはどうしようかと悩んでいるのである。



「...どうする?」

「うーん...。」

「我らにお任せ下さい!!」

「ガディウスさん?」

「我らの隊には日中にもやれる人はたくさんいます。彼らにローテーションを組んで任せれば大丈夫でしょう!」

「だけどあの月の矢だよ...?」

「我らは”守る”ための隊ですよ?大丈夫です。信じてください!」

「わ、分かった...。」



ガディウスさんに力説されれば断れない。一抹の不安はあるけど、ここは信じるしかない。



「ここで固まっていようか。」

「そうだね。」

「私はホムンクルスだしそこら辺歩いてるヨー。」

「じゃあ私も〜。」



ホムンクルスと夜歩きがどう関係するのか分からないんだけど...?


─────────

──────



次の日。



───ガギンッッ!!ドゴォッッ!!



「ぎゃぁぁあ!?!!」

「ぐはぁぁあ!??!!」


「んぅ?」



ログインした私たちに待っていたのは、男性の断末魔だった。



「ようアヤネ...。久しぶりだな。ん?なんで目隠ししてんだ?いや今はそんなことどうでもいいな。」

「...カイン...さん。」



そこにはオールバックの髪を揺らめかせ、額に白いバンダナを着けた人物...カインさんが私が造った血塗られたクラーガンソードを肩に乗せてニヤリと笑っていた。...それと目隠しはどうでもよくないと思う。



「カインさんは月陣営...ですよね。」

「まぁな。前々回のイベントでアヤネと戦いたかったんだが、無理だったから今日は敵同士としてアヤネの前に立っている。」

「...やるんですか?」

「もちろんだ。あぁ、タダでとは言わん。俺が負けたら太陽陣営に加わろう。」

「!...分かりました。」



未だにすずがログインしていないので、ここを離れるのは無理だ。それに、ソーラさんもすずと一緒に眠っている。逃げたら2人が殺されてしまうだろう。...アイリスとメルは月の欠片の端っこで走り回ってる。




「太陽の剣は...離れないんだったな。ソレを使われると絶対負けるからプライド捨てて言うけど、攻撃に使わないでくれんか...?」

「そうですね...。分かりました。」




太陽の剣は私の体から離れることがない。左手から右手、右手から左手というように、持ち替えるだけなら大丈夫なのだけど、月の矢のような攻撃に剣が弾かれたら途端に手に力が入って離れなくなるのだ。これは自分で手を離そうとした時も同じだ。



「...二刀流か。」

「...。」



だから必然的に二刀流になる。左手に太陽の剣、右手に白鹿王刀だ。ちなみに左手はようやく回復して使えるようになっている。



太陽が照らす真昼間。カインさんがなぜ太陽陣営のステータスが2倍になるこの時間帯を狙ったのか分からないが、全力で戦うまでだ。



「「...。」」


「まずは────小手調べだぜッ!」



────ガァァァァアンッッッ!!!



一瞬にして私の真上に現れたカインさんは上から大剣を振り下ろす。それを私は左手の太陽の剣で受け止める。STRなら負けるつもりはないよ!それに太陽の剣は”攻撃”には使ってないからね!



「フッ!!」

「チィッ!」



───シュバババッ!!



着地後一瞬の隙を突いて攻撃するが、当然の如く当たらない。




「くくっ...楽しくなってきたじゃねぇか!」

「...そうですね。」

「じゃあ今度はステップアップだな!《鬼化》《不屈の赤鬼》!」



───ビギビギッ!!



カインさんは身体が真っ赤になり、巨大化した。それにより元々2倍の体格差があったのに、その差が4倍以上になってしまった。...誰がチビか。



「さぁ第2ラウンドといこうか!」




...負けフラグ。

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