第289話 中立国家アポカリプス
「ログインっと...。」
「あ、アヤネだー。」
「起きたんだネ。」
「うん。」
今日は9月1日。始業式だった。これといって特別なこともなく、皆夏休みにあったことを話し合っていた。
「ん、メール...?」
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プレイヤーの皆様へ
この度は《セカンダリア・オンライン》をプレイしていただき、誠にありがとうございます。
本日0時にこの《セカンダリア・オンライン》の世界にて時空の歪みが発生していたことをお知らせします。
その時空の歪みを引き起こした何者かによって、夏イベント専用の街であったアポカリプスが《セカンダリア・オンライン》の世界に転移いたしました。
転移したアポカリプスは名前を変え、中立国家アポカリプスとして再起いたします。
なお、ロウアー大陸と魔大陸を繋ぐ中立国家アポカリプスではロウアー大陸民と魔大陸民の戦闘を禁じることとします。
ご不明な点のある場合には『ステータス画面』より『ヘルプ』でご確認いただきますようお願いします。
今後ともこの《セカンダリア・オンライン》をよろしくお願いいたします。
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「え...。」
──アポカリプス
その名前を見て、私の頭に思い浮かんだのはサーラ・シヴァ・”アポカリプス”だった。もしかして...!
「地図も入ってる...?」
「...。」
これだけ見ても、あの街かどうか分からないが夏イベント専用の街ってことはあの街で間違いないだろう。それにあの巨大なビーチも健在のようだしね。
「...行かなきゃ。」
「あれ?あや早かったねー。」
「すず!」
「ひゃいっ!」
「メール来てるでしょ?見て!!」
「う、うん!分かった!分かったから!(ガチ恋距離はやめてーッ...!私が耐えられないッ!!)」
すずにメールを見るよう急かせ、私は出発の準備をする。今回はアイリスとメルも連れていく。前はサーバーが違ったため連れていくことは叶わなかったが、今回は同じサーバーなのでそれも可能。
「中立国家アポカリプス...楽しミ!」
「私も〜!どんな所だろうね〜!」
「あ、あや...これ。」
「うん。無事だったみたい...!」
「よかった...。」
「早速行こっ!」
「そうね。やることは...ないしね。」
「すず早くー!」
「分かったから!(なんか子供っぽくなってない...?まぁ可愛いけど!)」
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───
──ハッチルンドとシクサリオンの中間地点──
「...街の外に出てきたものの...。」
「どうやって向こうまで行くか、だよね...。」
『...じゃあ龍になればいい。』
「っ!?な、なんだスカーレットか...。ビックリさせないでよぉ...。」
『む。それは済まなかった...。それはそうとして、龍になれば、皆運べる。前は私の意識が無かったから暴走したけど、今なら大丈夫なはず。』
「確かにそうだけど...。」
「あや?スカーレットはなんて言ってるの?」
「龍になれば皆運べるって...。」
「うーん...。暴走は大丈夫なの...?」
「そこは大丈夫だって。」
「...この先しばらく戦闘は無いと思うから使ってもいいと思う...けど、多分使ったらワールドアナウンスされちゃうんだよね?」
「そうなの...。そしたら何事かと思うでしょ?」
「...まぁいいんじゃないかしら?」
「えぇ!?」
「しばらくしたらほとぼりも冷めるでしょうしね。」
「むぅ...。分かった。」
正直皆に迷惑かけるみたいで気が乗らないけど、アポカリプス...あの街の領主であるサーラさんがちゃんといるかどうかだけでもこの目で確認したい...。ええいままよっ!
「《焔龍王の力》!」
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───スズカside
『レイドボス:超級龍種・憤怒の焔龍王スカーレットが現れました』
『レイドバトルに参加しますか?参加 0/20000人』
「ふぉおおお!凄い!アヤネ凄イ!」
「大っきい〜!強そう〜!」
「グォォォォ...。」
「あ、あや...聞こえてる...?」
「グルッ...!」
龍化したあやに聞こえているか問いかけると金色の目を細めながら返事をしてくれた。...なんだろう。前に戦った時は恐怖しか感じなかったが、今は...
「...可愛い。」
「グルッ!?」
そんな訳で私たち3人はあやの体の上に乗り、あやの体にしがみついた。
「グォオオオオオオ!!!」
───バサッ!!...ビュンッ!!
───ビュォォォオオオオオ!!!!
「へ...?きゃぁぁぁあああああああ!!??!!?!?」
「はやーーーーイっっ!!」
「風強いね〜〜!《ウィンドプロテクト》〜!」
死ぬかと思った。




