第286話 海の掃除屋
あれから約2週間。私たちはひたすらイベントにかかりきりだった。難破船や海賊船からのお宝や遺跡に眠る宝石など様々な物を手に入れた私たちはしばらく休みたいということで、現在はハワイ風のサーバーの方に来ていた。まぁまたすぐに戻るけどね。現実の方ではすずの家に泊まったり、雪華ちゃんと遊んだりと色々と楽しんだ。...やっぱり雪華ちゃんは癒しだ。あ、もちろんすずも一緒にいて気持ちいいと思ってるよ?でも雪華ちゃんはまた別の癒しなんだよねぇ。
「ハワイって行ったことなかったから今すっごい楽しぃ...。」
「そっか。私は他の人の視線が気になるけど...まぁあやが楽しいならいっか。」
「うゅぅ...。」
日が暖かくて気持ちぃ...あぁ〜...溶けそう〜...。このビーチチェアいいねぇ...。それにサングラスも。一体誰が作ったんだろこのサングラス?まぁ気分が味わえるならなんでもいいや。
「きゃぁぁあ!?!?!」
「うおおああああ!?!?!!」
「「っ!?」」
「おい!アヤネたん達!早く逃げろ!巨大な魔物が現れたぞ!!」
「ギィィィイイイイイイイ!!!!!!」
突如海から現れたのは全長20メートルを超える巨大な水色の虫。なんの種類かは分からないけど強そうな虫だ。
───ギリギリギリギリ...!
大きな口で歯ぎしりをする虫は徐々に街のある砂浜へと向かってきていた。多分ここで逃げても私達はきっと戦うことになるだろう。それならばここで戦った方が────
「やれ。」
「「「「はっ...。」」」」
───シュパッ!
──ズパァッ!ゴッッ!!ズバンッ!!ドゴォンッ!!
「ギィィヤァァアァァァアァアアア...!!!!」
あれだけ大きな虫が僅か数秒で退治された。強い...。一体何者なんだろう...。
「彼らは魔物の出やすいこの街を守るために結成された部隊よ。その名も『海の掃除屋』。」
「えっ...とぉ?」
「誰...?」
大きな虫が絶命したのを見届けた瞬間、私たちの後ろから女性の声が聞こえてきた。慌てて振り向いてみるが、やはり知らない人だった。
「あら。そういえば自己紹介してなかったわね。私の名前はサーラ・シヴァ・アポカリプス。この街の領主よ。」
「へぇ...その領主がなんでこんな所に?」
「ちょすず...!」
「いいから。」
「そうねぇ...信じるかどうかは任せるけど、私はある予知というか天啓を得てね...。」
「天啓...。」
「そ。詳しくは知らないけど何やらこの街に大変なことが起こるらしくてね...。」
「...つまり相談したかったと?」
「そうなるわね。」
「じゃあなんで私達なの?」
「...たまたまね。たまたま『海の掃除屋』を知らない子達が現れたからチャンスだと思ったのよ。」
「コミュ障だったようね...。」
「こみゅしょー?」
「なんでもない。」
「私はこの街の領主だからこの予知能力のようなものをつかってこの街のために頑張ってきた。さっき言った『海の掃除屋』もつい十年前に来た天啓で結成された部隊なのよ。」
「なるほど...?」
「今まではなんとか天啓でやってこれたんだけど、今回ばかりはどうしようもなさそうな感じがするのよね...。」
「プレイヤー...じゃなくて旅人である私たちに声をかけたのはそういうこと?」
「...そうね。どうしたらいいのかしら...。」
無言で話を聞いていたが、整理すると...サーラさんはこの街に不利益な未来が見えるとそれを回避するために色々としていたが、今回の天啓では回避することが不可能であるためどうしようか悩んでいる...というとこかな。
「この街に不利益...。」
「あや...?」
そこまで整理してふと思った。
「...ねぇすず。」
「なぁに?」
「...イベントが終わったらこの街ってどうなるのかな。」




