第284話 結婚まで秒読み
「...昨日は色々と凄かったね...。」
「...うん。正直色々とありすぎて何があったのか分からないわ...。でも今日はそんなこと忘れてデートよ!」
「デ、デートって大声で言わなくても...。」
「なんで?」
「だって外だもん...。」
すずにそう言いながら周りをちらりと見てみると、やはり感じる通行人達の視線。なんだか視線が暖かく感じるのは気のせいだろうか?
ちなみに今、私たちはお互いの家から少し離れたところにある大型ショッピングモールに来ている。また服の着せ替えとかはしたくないよ...?
「今日はまず買い物ね。」
「...服はもういらないからね?」
「...分かってるよ。あれはやり過ぎたなって私も思ってるんだから...。」
「ふーん?じゃあ何買うの?」
「ふっふっふ...。これから二手に分かれてお互いのプレゼントを買うのよ!」
「えぇ!?わ、私プレゼントとか...センスないし...。」
「大丈夫!私もないしプレゼントは気持ちが大事でしょ?」
「ぅぅ...確かに...そうかも...?」
「じゃあ決まり!買ってきたらまたここに集合ね!」
「......分かった。」
この4階のフロアにはアクセサリーなどの小物類から家具などの大物類まで数多く揃えられている。ここでプレゼントかを買うのか...。そうだ。すずの好みを聞こうかな。
「すずってどういうのが...ってもういない!?」
いつの間に...。まぁいっか。すずは気持ちが大事って言ってたけど、どうすればいいんだろう...。
「...とりあえず一通りまわってみようかな。」
それから私はこのフロアを商品を見ながらまわっていった。
「綺麗なアクセサリーに木彫りのペンギン...。本当に色々あるねぇ...。」
なんでアクセサリーと一緒のお店に木彫りのペンギンがあるんだろう。よく分からな...ん?
「水色の...犬...?」
ふと私が見つけたのは水色の犬のストラップだった。なんだかすずみたいなカッコよさを感じる。目が赤いのがちょっと怖いけど...可愛いんじゃないかな?...というかなんでこの配色にしたのか気になる。
「意外に人気なのかな?」
このストラップが最後の1つだったみたいで、両隣には何も置いてなかった。
「...すず喜ぶかなぁ。」
──チャリン──
「『エイリアンドッグのストラップ』...エイリアンの身体って水色なんだ...。」
その後も色々と見回って一周した。本当に色々な物があって見てて面白かった。
「あ、あや!」
「ただいますず。」
「おかえりー。」
「すずは何買ったのー?」
「せーので見せよう?」
「うっ...わ、分かった。」
「行くよ?」
「「せーのっ!」」
「「え...」」
すずが出てきたのは赤い猫のストラップだった。それも目が水色である。どことなく私の買ってきたエイリアンドッグのストラップと似ているような...。
「あや...私が買ってたの見てた...?」
「?見てないよ?」
実は一周したのにも関わらず、すずの姿を見ることができなかったのだ。たぶん同じ方向で一周したからなんだろうけどね。
「これあやが買ったものと同じところにあったの.....。」
「えぇっ!?」
「私はこの猫があやみたいだなって思ったから買ったんだけど...。」
「わ、私もすずみたいにカッコイイ感じがしたから...。」
「相思相愛ね!」
「そ!...そうかな...?」
「だってこれだけ広いフロアで同じようなことを思って同じようなものを買ってきたんだもの!相思相愛でしょ!」
「そう...かもね。ふふっ。」
「っ!...いつまで経っても慣れないなぁ私。」
「?」
「相思相愛ってことが分かったから次は下の階でお昼ご飯食べよっか。」
「う、うん。」
相思相愛...えへへ...。




