第278話 強くナール
『レイドボス:超級龍種・憤怒の焔龍王スカーレット・偽が出現中』
『レイドバトルに参加しますか?参加 53497/56000人』
「な、なんでぇ!?」
「ま、眩しいっ!?」
私達がサーバーに入ると、何度か見た事のある焔龍王スカーレットの字が目に入ってくる。それと同時に体から光の玉が現れ、遠くで暴れる黒いドラゴンに吸い込まれていった。あの光の玉は各地から飛んでいっているようだ。一体何なんだろうか...。
『レイドボス:災害級龍種・憤怒の焔龍王スカーレット・偽が出現中』
『レイドバトルに参加しますか?参加 52643/61400人』
「待ってなんで分母が増えてるの!?」
「ホントだ!な、なんで!?」
ただでさえ分母が大きかったのにさらに増えるのか。参加人数の分母が増えるということは相手がそれほど強くなっているということをさす。だから今この瞬間にもあの黒いドラゴンは強くなっていっているということだ。
「これは早く倒さないと大変なことになるね...。」
「だね...。」
あのドラゴンがなぜ強くなっていくのか...。来たばかりで何も分からないが、すずの言う通り早く倒さないとあのドラゴンが手のつけようがない程強くなってしまう可能性がある。できれば強くなる前に...って今でも十分に強そうだけど、早く倒したいところ。
「トッププレイヤー達はもうこのサーバーに来ていると思う。できれば合流したいわね。」
「そうだね。今ドラゴンが攻撃をしているところとかいそうじゃない?」
「...ずっと1箇所に留まっているから可能性は高いわね。」
トッププレイヤー達があのドラゴンを引き付けて耐えているのだろう。早く加勢しなければ...。
「行くよすず!」
「うん──きゃあっ!?」
「ごめんねこっちの方が早いから!」
私はすずの肩と膝裏を抱きかかえて飛ぶ。進化して常に翼が生えているからこそ気軽に飛べる。進化前はMP消費してスキル発動しないと飛べなかったからね。
「グオォォオオォォオオオ!!!!」
「「っ!?」」
こっちに気づいた!?
───ビィイィイイイイイイインンンッッ!!!
「グゥッ!!」
「きゃぁぁぁあ!!!」
まだ相当距離があるのにも関わらずこちらを感知したドラゴンはビームを飛ばしてきた。それを強引に体を捻って回避し、体勢を立て直す。もちろんすずは落としてないよ。すずを落とすぐらいなら私が落ちるもん。
「し、死ぬかと思った...!」
「ごめんね...。」
「帰ったらお仕───」
「さぁて頑張らないとね!すずは先に皆のところにいってて!」
「はぁ?あやはどうするの?」
「私は挨拶がわりに重い攻撃してくる!」
「は!?待ってよ!...はぁ死んだら許さないからー!!」
「分かったー!!」
すずを攻撃に耐えているトッププレイヤー達の群に降ろし、私は再び飛び立った。微々たるものだが、無いよりはマシな攻撃を挨拶がわりにぶつけてやろう。そして、私はここで死ぬつもりはない。...死んだらお仕置きされそうだからって訳じゃないからね?
「ふぅぅ.........!!」
───《刀堂流刀技・朧月》───
────ギャィイイイイイインンンッ!!
「グゥオオォオォオオオオオォオオオ!!!!」
「かったいっっ...!!」
なんだこの硬さは...!本当に生物の鱗なのか...?おそらくアイリスの体に使ったオリハルコンよりも硬いかもしれない。この鱗は金属に近い性質なのか...?
「ならっ!!」
───《刀堂流刀技・斬鉄》───
───ガギギィィィィイィィインンッッ...!
「グオオオォオオオ!!!」
「うわっ!?...っと危ない...!」
やはり斬れなかった。黒狼王の魔刀でも斬れないのであれば、造ったばかの白鹿王刀でも斬れないだろう。STRが高いとはいえ、あの硬さを前にしたら微々たる差だろう。
「......一旦離脱!」
「グォオオォオオオオ!!!」
───ビィィイイィイイイイインンンッ!!
「そう来るよね!!」
離れたらビームを放ってくるというのは読めていた。まぁ反撃とかできないけど...。ここは一旦すずのところに戻ってどうするか考えないと...。




