第264話 指輪
次の日。
ようやく解体が終わったところで私達はシクサリオンの鍛治師ギルドに向かうことになった。何をするのかと言うと、昨日考えていたすずのアクセサリーを造る。それともう1つ新しい刀を造ろうかなぁって思ってる。ちなみに今日はアイリスはいない。宿で眠っている。書き置きを残してきたから大丈夫だとは思うけど...。
「こんにちはー。」
「お、見知らぬ顔のやつだなぁ?」
「はじめまして。」
「お前さん達は鍛治師ギルドに所属してるのか?」
「私はしてます。」
「私はしてないです。」
「そうか。で、今日は何の用だ?」
「ちょっと鍛治場を借りようかなと思いまして。」
「分かった。そこら辺で好きにするがいい。」
「はい。ありがとうございます。」
「あ、そうだった。お前さんたちの名前を聞いてなかったな。俺はダル。ここシクサリオンの鍛治師ギルドのギルドマスターをしている。よろしくな!」
「私はアヤネって言います。よろしくお願いします。」
「私は魔法使いギルドに所属してるスズカっていいます。よろしくお願いします。」
「アヤネにスズカな。止めて悪かったな。じゃあ鍛治を楽しんでくれ。」
「「はい。」」
ダルさんと挨拶を交わしたあと、私達は1番奥の鍛治場までやってきた。まずは最初にすずのアクセサリーから造るのだけど、無難に指輪でいいかなぁ...?今日はリングだけ造って、宝石は買ってからはめよう。
「今日は何造るの?」
「指輪。」
「へぇ。...ち、ちなみに誰の...?」
「え?すずのだよ?」
「っ!...そ、そう。あり、ありがとう。」
「すず?」
「な、なんでもないわ。」
何故か顔を赤くして俯くすず。心配で声をかけたら顔を逸らされてしまった。あの顔は何度か見たことがある。恥ずかしがってる顔だ。...でもなんで恥ずかしがってるんだろう?
まぁいいや。
で、指輪のリングを造るための素材なんだけど、これには魔物の素材は使わない。武器はともかくアクセサリーに魔物の蔵物とか使いたくないし、欲しくもないだろう。
という訳で、使う素材はこちら。
・魔鉄、ミスリル、魔線花、腐卵花、マッチョ草
この5つの素材を使って指輪のリングを造っていく。まずは魔鉄とミスリルで合金を造らないとね。
錬金セットの赤い布と青い布を敷いて、その赤い布の上に金床を置く。魔鉄とミスリルを燃やして混ぜてから叩いていく。なぜ魔鉄とミスリルかというと、両方ともMP...魔力を通しやすいからだ。魔鉄はその名の通り魔力を通しやすい鉄。そしてミスリルはすず曰く魔銀と呼ばれているらしい。その2つが合わさればなんかいいモノになりそうかなぁって思ったからね。
で、もう片方の青い布の方に魔線花から作った魔力導線と腐卵花から作った防腐剤、そしてマッチョ草を磨り潰した液体を置いておく。
───カァァンッ!!カァァンッ!!カァァンッ!!カァァンッ!!
──カァァンッ!!カァァンッ!!カァァンッ!!カァァンッ!!
─カァァンッ!!カァァンッ!!カァァンッ!!カァァンッ!!
「...ふぅ。小さくて難しかったけど、形にはなったかな。」
魔力導線は魔力を通しやすくするために、防腐剤はその名の通りで、マッチョ草の液体は魔力を貯めれるようにするために使用した。そうしてできたのが...
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【名前】ミスリルアイアン魔合金製のリング:品質☆3
【説明】ミスリルアイアン魔合金をベースとした指輪のリング。そこに素材を加えたことによって、魔力を貯められるようになった。いつでも好きな時に貯めておいた魔力を使用することができる。完成すれば更なる効果が得られるだろう。
耐久:765
MP貯蓄量:100
INT:50
【製作者】アヤネ
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「な、何これ!」
「結構すごいのができちゃったかな...?」
「すごいレベルじゃないわよ!この世界にMPを貯められる装備なんて存在してないのよ!?」
「そ、そうなの?」
「えぇ!貯められるのは100までだけど相当すごい物だからね!?」
「う、うん...。」
「...はぁ。なんか私あやが何か造る度に怒鳴ってる気がする...。」
「はは、は...。まぁすずの為だから頑張らないとってね。」
「っ...そ、それは反則よ...。」
すずの照れ顔可愛い。




