第263話 バグ?騒動
「ねぇあや。」
「なぁに?」
「最近このゲームでバグが起きてるらしいわよ。」
「バグ?」
「えぇ。運営はバグじゃないって言ってるけどどう考えてもバグとしか考えられないんだよね...。」
「それってどんなバグなの?」
「それは───」
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「ここはもう探索しつくしたな。次はどこ行く?」
「そうだなぁ...とりあえずここ行ってみようか。」
「せやな。ん...?」
───ガチンッ...ガチンッ...!
ある男達2人が地図を見ながら話していると、何もいなかったはずなのに突然目の前に鉄の牙を持ったライオンのような魔物が現れた。いくら地図に集中していたとはいえ、目の前に来るまで気づかないほど実力も落ちぶれていない。ならばなぜこのライオンは僅か数メートル前にいるのだろうか。
「な、なぁこのゲームにバグってあるんかなぁ?」
「さ、さぁ?それより俺もうあんな死に方したくないんだが...?」
さらに言えば、その現れた魔物が記憶に新しいトラウマレベルの魔物であるという点でタチが悪い。バグだとしたらこの男たちは相当運が悪いだろう。
「...お前左から逃げろ。俺は右からだ。」
「...っ。そ、そうだな。」
「...恨みっこなしだぞ?」
「...そっちこそな。」
ジリジリと寄ってくる戦意むき出しのライオン型の魔物に対し、男たちは逃げ延びることしか頭になかった。
「グガァァ!!!!!」
───グヂャッ!!バギッ!ゴリゴリ...ピチャッ...
左右バラバラに逃げ出した男たち。ライオン型の魔物は当然追いかけるが、体は1つ。故に運ゲーである。どちらかの男に向かって走っていったライオン型の魔物はあっという間に追いつき、食事をとり始めた。その聞きたくない音を聞きながら逃げ延びた男は決して後ろを振り返らなかったという。
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「うわぁ...。たしかにバグっぽいねぇ...。目の前に急に現れたっていうなら気づかない方がおかしいもんね。」
「しかも何件も起きてる。そのどれもが中級から上級冒険者たちの間で起こりやすいみたいで現れる魔物は人それぞれらしいわね。」
「なるほどぉ...。私たちはどうなんだろう?まだ初心者の域にいるのかなぁ...?」
「...本気で言ってる?」
「...冗談だよ。」
ともかく。すずの言う通り、バグ?それとも仕様?まぁなんでもいいけどそれが起きた場合についても考えないとね。全く何も考えないで無防備でいたらどうしようもないからねぇ...。それにしても記憶に新しい...か。
「あや今日も解体?」
「うん。ちょっと貯めすぎちゃって...。ごめんね?付き合わせちゃって。」
「ううん。私の分も頼んでるから仕方ないよ。こっちこそごめんね?そしてありがとう。」
「どういたしまして!じゃあ冒険者ギルドに行こっか!」
「えぇ。」
そうして私たちはログインした後、シクサリオンの冒険者ギルドに向かって歩いていった。...久々に繋いだすずの手はいつも通り暖かくて柔らかかった。
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「ふぃー!疲れたー!」
「お疲れあや。」
「うん。」
今日も現実世界で2時間ぐらい解体した。インベントリにはまだまだたくさんの魔物たちがいる。解体し終わったらこの素材達で何か武器でも造ろうかなぁ...。そういえば鍛治師ギルドの依頼も最近受けてないなぁ...。
「...よしっ!今日はまだ頑張るぞー!」
「頑張って!...でも無理しないでね?」
「うん!」
すずに応援されたら頑張るしかないよね!すずに何かアクセサリーでも造ろう。そうしよう。




