第255話 マッマ
「あや。」
何やら聞き覚えのある声。ふにゃふにゃになった頭をギュッとさせ、暖かかった背中に冷や汗が流れる。
「す、すず...?」
「あらら...スズカちゃんが来ちゃったのねぇ...もう少しこのままでいたかったのだけれども残念だわ〜...。」
「あや。」
「ひゃぃ...。」
「おいで?」
「ぅん...。」
すずに呼ばれたので、ラギさんの膝から降りて恐る恐るすずに近づいていく。これまでに何度かこういう場面になったのだが、その時の笑顔よりも冷たい笑みであった。
──ギュッ...
「あ、ぁの...ご、ごめんなしゃぃ...。」
「なにが?」
「ぅ...ラギさんと...その...一緒にいた、こと...。」
「それで?」
「それで...あの...沢山撫でられたこと...。」
「それで?」
「そ、それで.........ぅぅ......ゅ、ゅるして...?」
「っ...。そ、それって誤魔化してるだけじゃないの?(う、上目遣いは反則だよぅ...よし。ようやくあやのあざと可愛い仕草に慣れてきたわ...!)」
...誤魔化せなかったみたいだ。いつものすずなら何だかんだで許してくれるのに、今日はまだ怒っている。これはまずい...。
「どうしても...だめ?」
「ぅっ.........ふぅ...ダメよ。許して欲しいのならばそれなりの態度ってものがあるのよ?」
「ぅぅ...。」
「(半泣きのあやが可愛すぎる件について。...はぁしょうがないなぁ...。)...一つだけ条件がある。」
「っ!な、なに?」
「...その...私にもその...甘えて欲しいって言うか...。」
「あ〜......。ぅん...いいんだけどさ...?周りの目が...ね?」
「あ...宿取るわよ!」
「あ...。」
「あらまぁ...逃げちゃったわねぇ?アヤネちゃんも行かないの?」
「行きますよ。ではラギさん。ありがとうございました。」
「ううん。また甘えたくなったら言ってね?」
「...多分難しいと思いますけどね...。」
「あはは。あの子束縛系だものね...。まぁ頑張ってね?」
「はい。ではまた。」
──────
「さぁ宿を取ったわ。」
「ログアウトする?」
「ええ。...ふふっ向こうで甘えてもらうわ!」
宿を取って早々にログアウトした私たちは今ベッドの上で見つめあっていた。
甘えるってどうやって甘えればいいんだろう...?ただくっつくだけならいつもやってるしなぁ...。うーん...。じゃあ...
「ママ?」
「ぐふぉっ...!」
「すず!?」
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──────
「えっとぉ...私たちどうすれば良いのかしら...?」
「知らん...。わしらもこのまま解散でいいんじゃないか?」
「そうですねぇ...。とりあえずこれからミューさんに会いましょう?」
「そうだね。...で?そこの2人?2体?はどうすんの?」
「わたしはアヤネについて行くよ〜!」
「...正直寝たいけどここじゃ寝にくいから僕もついてくよぉ...。」
「そう。分かったわ。じゃあここでお別れね。」
「うん!ぬこ姉ありがとね〜!」
「っ、う、うん。こちらこそ...。」
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「アヤネちゃん結構速いねぇ...。」
「スズカも速いんじゃない?」
「ふわぁ...宿取ってもらったら寝ないとぉ...。」
別れの挨拶等でスズカとアヤネに出遅れた2人...メルとメルフォーズが凄まじい速さでスズカ達を追っていた。それを見た一般のプレイヤー達はあまりのスピードに呆然と口を開けていたのだった。
祝☆300話!まぁこれといって特に(殴
なにかSSでも書こうかなぁ...なんて思ったり。




