第250話 宝を奪う魔物
『あ、そういえば掲示板で思い出したんだけど、最近海でプレイヤー達が集めた宝を奪っていく魔物がいるらしいよ?』
『そうなの?でもインベントリの中に入れてれば取られないんじゃないっけ?』
『なんか特殊な魔法?スキル?使ってくるらしいよ?』
『怖いね...。』
「...ーい!!おーい!!」
『なんかデジャブ?』
「おいぬこ!わしらを置いていくな!」
「本当にアヤネちゃんが...」
「速いよぬこちゃん...!」
「ごめんね3人とも...。ちょっとこの3人と会えたことが嬉しくて忘れてた...。」
『ミューさんだ!』
「アヤネちゃんだ!こんにちは!」
『ブラキじゃさんにキョウさんも一緒にいるのね。』
「スズカじゃないか。久しぶりだな。」
「久しぶりスズカちゃん!...私達もスズカちゃん達みたいにラブラブになりたいなぁ。|・`ω・)」
「...そんな日は来ない。」
「えぇえ!!??!」
────────
────
みんなが皆一斉に話すために誰が誰だか分からない。しばらく時間を置いて、今いる人員を整理すると、まず私たちの陣営には私ことアヤネとスズカとアイリス。で、ぬこさん陣営にはぬこさんとブラキヅトメジャ!さんとキョウさんとミューさんがいる。合計7人の大所帯となった私たちは宛もなくただそこら辺を彷徨くことにした。
『って感じ?』
『うん。...まぁ私たちはやることないからただ着いてってるだけなんだよねぇ...。』
『そうだな。そちらのアイリスとこっちのぬことミューが張り切っとるからなぁ...。』
『...それほどアヤネちゃんに認められたいのでしょうか?』
『ん?なんで私?』
『...いえ。自覚がないのならいいです...。』
嘘でしょこの人...?みたいな顔をしてくるキョウさんに私はさらに困惑した。私が何をしたのだろうか...。
『あやは何も知らなくていいのよ。だから私だけを見て?』
『ふぇっ!?ぁ、ぇぅ、うん?』
『...やるなスズカ。わしもドキッとしたわ...。』
『...ブラキじゃさぁん?』
『え、いやすまんかった!だからその手に持つ手錠だけは止めてくれっ!!』
なんだろう...。今日のすずは妖艶だ...。
ポーっとする頭を無理やり働かせ、周囲を警戒する。すると...
「お宝持ってるか〜〜〜〜っっ!!!」
「「「「「っ!?」」」」」
────ギュュゥゥゥゥンッッ!!
遠くから凄い勢いで泳いでくる人型のシルエット。近くまで来てみるとその全容が分かる。翠色の髪をもつ可愛い女の子だ。なんか所々溶けてるような気がするけど大丈夫かなぁ...?
「翠色で人型の魔物...はっ!?」
『どうしたの?ぬこさん?』
あの少女を見てぬこさんが何かを思い出したような声を上げた。
「どうも何もあの子が宝を奪っていく魔物よ!」
『『「えぇっ!?」』』
あの少女が魔物...?
「お宝を出せ〜...ぇ...?」
とっても可愛い声で脅してくる少女が私と目を合わせるとそのままフリーズしてしまった。一体何があったの...?
『え?何?アヤネちゃんこの子と知り合いなの...?』
『い、いや...私この子のこと知らない...。』
『そう...じゃあ遠慮はいらないね!』
「え?なになに?あの子やっつけるノ?」
「っ...今は戦わないと...。後でゆっくり話せるかなぁ...?」
ぬこさんは私と知り合いじゃないことを知ると、臨戦態勢にうつる。それを見たアイリスも興味深そうに戦闘に入ろうとしていた。
そして、どうやらあの子は私と話があるみたいだ。
ついに出会ってしまったこの1人と1体...。




