第248話 イベントゥ...
「じゃあもう心配しなくても大丈夫ってこと?」
「えぇ。私の《式神》を一体置いておくから安心してちょうだい。」
「ありがとうフォルトゥナ。」
「...貴女の為じゃないわ。」
「良かったねドールスさん!」
ドールスさんのお礼にフォルトゥナさんは顔を逸らしてそう言う。これが所謂ツンデレってやつなのかな?
「...あや。それ多分違う。」
「そうなの?」
まぁいいや。私たちは旅に出ている身なのでずっとここにいられる訳じゃない。まぁドールスさんが許してくれるのなら旅が終わったあとここを拠点にしてもいいかもだけど。だからフォルトゥナさんが《式神》でドールスさんを守ってくれるのは有難い。
「貴女を連れ去ったあの女。強さは相当だけど、逆に言えば相当止まり。私の《式神》を突破できないはずよ。」
「へぇ...こんなちっこい狐がか...。」
「...噛み付いてもいいわよ。」
「ガウッ!!」
「ぎゃぁっ!!」
「ドールスさぁぁぁんっ!!」
この2人実は仲がいいのでは...?
「...あや。それも多分違う。」
「...なんで心読んでるの?」
「あやのことは全部分かるよ?例えば...今日の下着の色とか。」
「〜〜っ!?な、なんでっ!?」
「そりゃあ私のベッドの上で無防備にゲームやってれば見るよね〜。」
「ば、ばかぁっ!!」
「い、痛いって...。」
痛いとか言いつつもダメージはそんなに入っていないのだろう。そう考えると今やってる事は無意味なのでは...?...ちょっと虚しくなったのでもう1発だけ。
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「今度こそじゃあな。」
「うん。ドールスさん気をつけてね?」
「そちらこそ気をつけろ。」
「じゃあね博士。」
「じゃーねードールスサン!」
こうして2度目の別れを済ませた私達はイベントをこなす為に海方面に向かったのだった。
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「...本当にこれで良かったのか?」
「ふふん。スカーレット...今はアヤネだけど、あの子は私のことを覚えていない。多分スカーレットとは全く違う子なのよ。だから初対面くらいいい人でいなくちゃね。」
「そうか。その本性がバレないといいな。」
「ふふふ...バレないようについて行くわ。」
「本当のストーカーじゃんか...。」
「じゃあ私も行くわ。...その子に手を出したら許さないからね。」
「そんな恐れ知らずのことはしない。」
「...精々あの女に怯えて暮らす事ね。」
「あぁ。フォルトゥナも頑張れよ。」
なんて皮肉が通じない子なのよ...。ま、まぁいいわ。私も早くアヤネを追わないとね。
「───待ちなさいな。」
「何かしら?」
「そこのドールスを奪ったのは貴女ね。」
ドールスの家から数歩歩くと、目の前にドールスを連れ去った女が現れた。
「そうだけど?あんなに無防備だったんだから私から奪われても文句は言えないわよ?」
「...一応強い警備は沢山置いたつもりだったんだけどね...。流石フォルトゥナ。奪魅妃の名を持つだけあるわね。」
「あらぁ?私の名前を知ってくれてるの?有難いわ。」
「ふっ。今日は他でもないドールスの件で来たわ。私がいない内に奪われたからね。今度は貴女の目の前で奪い取ってあげるわ!」
「ふふふ...。そう来たのね。分かったわ。」
「...これ私の為に争わないで〜とか言えばいいのか...?」
アヤネ達一行が海へ向かっている間、起こった戦闘はそれはそれは激しいものだったと後に彼女は語ったのであった。
???「この戦闘フォルトゥナの勝ちだったぞ?こりゃ《式神》に期待してもいいかもな。...さぁてホコリ被ったゴーレム達でも見に行くとするか。」




