番外編 三つ巴の戦い③
──ジークフリートside
「...で、どうしてこうなったんだっけ?」
「...さぁ...?」
「ジークさん次はどこに行くんですか?」
「ジークさんよければこれどうぞ!」
今俺たちの周りには数百人のプレイヤー達がいた。彼らは皆俺らがイベント中助けた人達だ。...助けたあとなぜかついてくるが...。そのお陰でどんどんと大所帯になったのだ。最初は快くOKしたのだが、10人を超えた辺りからうんざりするようになった。隣にいるまじっちも苦虫を噛み潰したような顔をしている。...もちろん皆にバレないように。
「ありがとう。...そうだなぁ。次は向こうに行ってみるか。」
「...なるほどね。僕も賛成するよ。」
「一生ついて行きます!」
「一生はやめてほしいかな...。」
目をキラキラ輝かせて鼻息荒くするプレイヤー達を宥めつつ俺たちは西へと海を横断する。今までずっと北方面だったのに、なぜ西方面に切り替えたのかというと、そっちの方角に強い気配を感じたからだ。恐らく海のボスだろうな。それもフィールドボスよりも強い。
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「あ、あれは...!」
───グチャッ...!
「ガハッ......。」
『よしっ!お宝ゲット!』
「なんだあれは...人間...ではなさそうだな...。」
「腕が変形する人間なんていないでしょ...。」
目的地で発見したのは翠色の髪をした幼い少女だった。彼女はたった今イベントで宝探しをしていたであろうプレイヤーを殺した。...右手をチェーンソーみたいな物に変形させて...。
『次は〜...貴方達?』
「「「「「ッ...!?」」」」」
周りのプレイヤー達は怖気着いている。それもそうだろう。幼い少女が笑顔で人を殺したのだ。怖くない方がおかしい。
『お宝探し楽しいな〜!』
「お前は宝探しでもしているのか...?」
『うん!マリ姉から言われたんだ〜!海に攻めてくる人間共から宝を奪い取れって!そしたらご褒美くれるんだよ!いったいどんなご褒美かなぁ〜...んふふ。』
「は、はぁ...?」
マリ姉?いったい誰だ?宝を奪い取る?どうやって?俺たちはプレイヤーだ。手に持っている物ならともかく、インベントリに入っている物は殺しても奪い取れない。いったいこの子は何を言っているのだろうか...。
『レイドボス:超級スライム種・原初の偽神メルフォーズが現れました』
『レイドバトルに参加しますか?参加 0/20000人』
「「「「「「は?」」」」」」
「いやいやいやいやおかしいだろ!!なんでこんなところにレイドボスがいるんだ!?」
「しかも前イベントの赤い龍よりも人数上限多いぞ!?絶対アイツより強いじゃねぇか!!」
「俺ら500人もいねぇぞ...?」
「ど、どうしよぅ...。」
「落ち着け!...落ち着け。今は文句言ってる場合ではない。」
『あれ?戦わないの〜?』
「できれば戦いたくないんだがな...でもそうは言ってられ───」
『分かった!』
「は?」
『お宝くれたら見逃してあげる!』
「...なるほどね。」
「おい皆聞いただろう!1人1つ海で拾った宝を出せ!俺からはこれだな。」
『んゆ〜?剣〜?』
「あぁ。俺は使わないからな。」
『ありがと〜!』
笑顔で剣を受け取るメルフォーズ。不覚にも可愛いと思ってしまった。...俺はロリコンではない。断じて。
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『わぁ〜!皆ありがと〜!また会おうね!』
「あ、あぁ...。」
───ギュゥゥゥゥン......
メルフォーズはすごい勢いで海を飛ぶ様に進んで、消えていった。
「...MP量バケモンだな...僕でも負ける気しかしないよ...。」
「本当に2万人いても勝てるか怪しいな...。」
「だよねぇ。後ろの奴らなんか腰抜かしちゃってるよ。あはは。」
美しいものにはトゲがあるとはよく言ったものだ。本当に戦わなくて良かったぜ...。そういや笑顔は可愛かったが、どこか狂気を感じたな...。てかメルフォーズってスライム種だろ...?なんで海にいたんだ?




