第242話 ソードーイン
「「「.........。」」」
ドールスさんが誘拐された。もしかしたら私達がここに入り浸っていたせいかもしれない...。だって私たちが出てからまだ数日も経っていないのだ。関係がないとは言いきれない...。
「...あや。」
「...ん。」
「あの博士を探そう!」
「うん!」
本当ならイベントをこなしているはずだったのだが、そんなことも言っていられない。アイリスのために尽力してくれたドールスさんの危機に駆けつけないと...!
「とはいえ、手がかりが何もないからなぁ...。」
「どうしよう...。」
「掲示板で探してみようか。もしかしたら目撃情報があるかもしれないし...。」
「そうだね。任せてもいい?」
「もちろん。で、イベントの事なんだけど...」
私は掲示板のことについて何も知らないので、これに関してはすずが頼りだ。何か情報があるまで何もしないのも勿体ないので、気は進まないけどちょっとだけイベントに参加しつつドールスさんを探そう。
「とりあえず、今日はログアウトして、明日から探そう?」
「...うん。」
「私はちょっと探索してくるネ!」
「気をつけてね?」
「もちろんダヨ!」
そういって私たちはログアウトした。
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次の日
「...なんか今日の彩音ちゃん元気ないね...?」
「...ちょっと...ね...。」
「...そっか...。」
毎朝私と登校してくれる美月ちゃんは落ち込む私を気遣って何も言わない。まさかその原因がゲームの中の子が誘拐されたからだとは思わないだろう。
「(...ゲームで何かあったのかな...?帰ったら掲示板で調べてみよう...。)」
「何か言った?」
「いいえ?」
「そっか。」
「ええ。早く学校に行きましょう。」
「うん。」
...いつまでもいじけても意味が無い。やるべきことはちゃんとこなさないと。
「...美月ちゃんありがと。」
「何がです?(うひゃぁぁあ!!彩音たんに感謝されたぁぁぁ!!!!私もう死んでもいいっ!!)」
「...ううん。なんでもない。」
「そうですか。(照れた顔も可愛いなあ!!!もう襲ってくれと言ってるようなものだよね!?もういいよね!?あの涼香さんもいないからいいよ──)」
「──あーや!遅かったから迎えに来たよ!」
「すず?」
「...チッ」
「美月ちゃん...?」
遅いといってもまだ遅刻してないんだけどな...?あと美月ちゃん今舌打ちしなかった?気の所為...?
「さ!早く乗って!」
「え、でも美月ちゃんが...。」
「う...分かった。貴女も乗りなさい。」
「は、はい...。」
すずはなぜか私以外の子に厳しい。お嬢様口調になるぐらいには。何でなんだろう?
お言葉に甘えて私たちはすずが乗ってきたリムジンに乗って学校に向かう。ちょっとこの短期間で色々あって何が何やら分からない。...でも少しだけ不安は薄れたかな...。
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──放課後──
・真城美月side
「ねぇ美月さん?」
「はい?なんでしょう涼香さん。」
「いえ...ルーナさんとしての貴女に頼み事があるのです。」
「っ...それは彩音た...さんが今悩んでいることについて...でしょうか?」
「察しが良くて助かるわ。あの子が気に入っているドールスっていう博士が攫われたのよ。」
「ドールス...ですか。分かりました。こちらの方で探しておきます。」
「ふふ。ありがとう。」
「いえいえ。私も彩音さんが傷ついているのを見てるのはとても辛いですから...。」
「じゃあ頼んだわよ。」
「ええ。」
放課後、私の元にやってきた涼香さん。彼女は珍しく彩音たんと一緒じゃなかったので驚いていたが、理由を聞くと納得。私はまだルーナだとはバレていないためわざわざ彩音たんから離れたのだろう。
彩音たんが困っている。それならば助けない訳にはいかない。私はアヤネたんを愛でる会の会長だ。今こそ組織の力を見せる時だ...!




