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第233話 水も滴るいい超魔黄金金属製ホムンクルス




「ギジャァァア...!」


───ドドドドドドドドンっ!!



「せぇいっ!!」


──ズパンッ!!ズパパパパパンッ!ズパパンッ!!



イカの魔物が海から私たちのいる岸に向かって8つの足の先に着いている砲身から凝縮された水の弾を放ってくる。それをアイリスが刀で真っ二つにした。



「ウン!結構いい感ジ!」

「刀は良いかもね。でも刀が折れた時のことも考えないとだねぇ。」

「そうだネ。《オリハルコンの剣》」



再びショートヘアになったアイリスは金色の剣を両手で握りしめて未だキレて撃ち続けているクラーガンに向き直った。



ちなみに、クラーガンはだいぶ前...私がまだこのゲームを始めたばかりのころにカインさんに造ってあげたガンソードの素材の魔物だ。海からポンポンと水の大砲を撃ってくる厄介なモンスターである。



話を戻すが、この短時間でなぜアイリスの魔力が回復しているのかというと、すずのお陰だ。すずがアイリスに抱きついて魔力...MPだね。MPを無駄に放出したことにより、《魔力吸収》が過剰に働いてアイリスの魔力が回復したのだ。要するにすずの魔力をアイリスに譲渡したってことだね。...そのやり方を見てちょっとだけ嫉妬した私は重いのかなぁ...。




「じゃあこれでやってみるヨ!」

「うん。頑張って!」



「ギジャジャッジャァァア!!!」

「なっ!?」



───ピィィィン....ドォォォオオォオオオオオンッッ!!



なんと8つの足から同時に水の弾...いや、ビームが撃ち出されたのだ。...まるでその光景は試練の塔で見た鹿の攻撃みたいであった。



「もう2度目はなぁぁぁぁああぁあああイッッ!!!」



────ドバッシャァァァァァァア!!!!!!



「ふぅ...!」

「ふぅじゃないよ...。何やりきった感出してるのまったく...。全身で受けてどうするの...。」



一瞬ヒヤッとしたが、オリハルコンの剣で受け止めきれなかったビームを体全体で受けたアイリスには傷1つ着いていなかった。もちろん体力は減っているだろう。だが、安心材料には十分だった。



「それにしても流石だねぇ...。擬似ヒヒイロカネの魔法防御力が強いのは本当だったんだね。」

「そうだネ!私もビックリした。まるで前から水をかけられたみたいな感じだったモン。」

「そりゃ前から水かけられてたからね...。」

「違う!そういう事じゃなイ!」

「あはは!うそうそ。分かってるよー?」

「全くモウ...。」




「ギジャァァア!!!!」


「っ!いつの間ニ!?」

「っ...!!」



───スパパパンッ!スパンッ!



いつの間にかすぐ近くまで寄ってきて来ていたクラーガンの振り下ろされそうだった8つの足を斬り落とし、胴体を切断した。



おそらく攻撃が当たらないと焦れたクラーガンは私たちが話している間にこっそりと忍び寄って来ていたのだろう。...そう考えるとちょっと可愛いと感じる。



「...やっぱり凄いネ...。音がもう、ネ...。」

「そう?ありがと。」

「っ、つ、次のやつ探そっカ。」

「うん。着いてくよ。...すずー!次のクラーガン探しに行くよー!」


「......分かったー!」



砂浜で1人瞑想しているかのように延々と考え続けていたすずを呼び、私たちは次のクラーガンを探したのだった。



イベントは明日。ちなみにアイリスは泳げなかった。流石に重すぎたようだ。



「誰が重いっテ?」

「っ...何でもないよ?」

「...フーン?そんなこと言っちゃうんダー?」




「に、逃げるが勝ちッ!!」

「待テぇぇぇぇ!!!!」

「ふふんっ!AGIのステータスは私の方が上...!」

「ふっふっふ!それはレベル1の時の話!今は検証とかでレベルは11ダ!!」

「ふぇっ?...まってなんか早くな....きゃぁぁあ!!!!!」




後で聞いた話だけど、魔力で速く走れるようになっているのだとか...。ほとんどの魔物が魔力でスキルの《身体強化》を使わずに身体強化をしているらしい。...その際のAGIは3倍。1500である。私のAGIは1100程度だから追いつかれるのは当たり前であったのだ...。...解せぬ。




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