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第230話 お別れ



「なぁ。1つ気になったんだが、ホムンクルス...アイリスは神器な訳だよな?」

「そう...だよね?」

「うん。」



しばらく熱い抱擁を交わしていると、傍で考え込んでいたドールスさんが口を開いた。



「ならば、()()()()()()()()()()?」

「何を......あ、インベントリか!」

「神器ってことは『物』の扱いになる...ってこと?」

「うむ。」


「アイリスちょっと...っていない!?」

「あれ?さっきまでいたんだけどなぁ...?っていた!」



すずがアイリスがいないことに気づいて声をあげたので私もアイリスを探すと、彼女は忍び足で地下の唯一の出入口から出ようとしていた。



「もうインベントリはいヤァァァ!!!!」

「わ、分かった!分かったから落ち着いて!?」

「...インベントリの中ってどうなってるんだ...?」

「さぁ?」

「ちょっとすずもアイリス落ち着けるの手伝って!?」

「はーい。」



涙目になっているアイリスを宥め、再び抱きしめる。インベントリの中がそんなに嫌ならば無理して入ってもらう必要はない。



「ドールスさん...ありがとうございました。」

「何がだ?私は自分の試したいことをやったまでだが?それに感謝をするならこっちの方だ。オリハルコンなんて一生扱うことなんてないなって思ってたからな。...こちらこそありがとう。アヤネ達のおかげで私の夢を達成することができた。」

「え?ドールスさんの夢...?」

「うむ。私の夢はゴーレムではなく、進化系のホムンクルスを造ること。そして、伝説の金属を扱うことだった。」

「あれ?ここにたくさんあるんですけど、ホムンクルスは無いんですか?」

「うむ。人型の物を造ってもどれもがゴーレムになってしまうのだ。恐らく条件は品質☆5以上のゴーレムがホムンクルスになるのだろうな。私の造れる最大の品質が☆3までだ。まさか☆8まで行くとは思わなかった。」

「伝説の金属を使ったから?」

「そうだろうな。何はともあれ、互いに利を得ているから感謝しなくてもいい。」

「...うん。」

「じゃあ。また気が向いたらここに来るといい。...そっちのアイリスの様子も見たいしな。」

「うん。またね!」

「うむ!」



私達3人はドールスさんに見送られながら家を出た。ドールスさんいい人だったな...。左右で私の手を繋いでいるすずとアイリスにそう言うと、やっぱり同意してくれた。



「もうちょっとこの街を周ったら次の街に行こっか!」

「うん!」

「ずっと刀に取り憑いタ状態でインベントリの中にイたから久々に体動かせそうだネ!」

「じゃあ次の戦闘はアイリスがメインで戦ってみる?」

「いいノ!?」

「うん。それでいいよねあや?」

「うん。人形だった頃から戦ってたし今の体に慣れるためにもいいと思うよ。」

「やっタァァァァア!!!」



こうして私たちは元通りになったのだった。



────────

─────






───トントンッ...



「んぁ?なんだ忘れ物かアヤ...ネ...?」


「はいどーもドールスさぁん?」


「っ...お前は誰だ...?」


「私?私は誰でしょう?...少なくとも貴女に教える名前はないわ。」


「...。それで、なんの要件だ...?」


「ふふふっ。貴女には私の配下になってもらうわ。もちろん拒否権はない。もし断るのならば、貴女も、ここにあるゴーレム達も...そして、ホムンクルスもぜーんぶ壊しちゃうかも?」


「クソがっ...!...いいだろう。ただし、もし万が一ゴーレム達やホムンクルス...アイリスを破壊してみろ。私は自害してやる。」


「あら?そこは殺してやる...じゃないの?」


「普通に考えて無理だろう。...それに自分の価値は分かっているつもりだ。」


「ふーん?まぁいいわ。じゃあ、少し眠ってもらいましょうかね...?」


「ぅっ...!?...な、に.....ぉ......。」


「ふふふ...これはいい買い物をしたわねぇ...感謝するわ...───」









「───アヤネちゃん?」



そうして倒れたドールスを両手で抱えた女は嗤いながらそこからいなくなった。



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