第225話 制作開始ッ!!
「やっと帰ってきたねぇー...。」
「んんっ...往復はキツイかなぁ...。」
シクサリオンの近くの浜辺に潜水艦を停め、久々の地面に降り立った私たちは大きく伸びをして、体を解した。
「これで素材は全部だよね?」
「うん。後は渡すだけだね。」
そこからまた数十分かけ、シクサリオンに帰ってきた。
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「んなぁっ!?ヤサシイマユーレーの霊体だとぉっ!?」
「な、なんか相手が成仏しちゃったんですよね...。」
「一体どうやって...普通なら未練が強いはず...相当尽くさないと成仏しない......なんで......?」
「ドールスさん?」
「はっ!あぁ...いや、すまん。これから取り掛かるから待っておれ。」
「あの...作業の様子見てていいですか?」
「あ、それ私も気になる!」
「う、む...。仕方ない。邪魔だけはするなよ?」
「「はい!」」
素材が揃ったので、ようやくアイリスのためのゴーレムの制作に取り掛かる。私たちは2人とも詳しくないので、ただ見ているだけになるが、今後故障しても直せるようにしておかなければならない。
「まずは1番大事な部分である司令塔と魔力貯蔵庫を造る。」
「「おぉ...!」」
司令塔は人間でいう脳。これはこの世界で1番頭の良い魔物であるキングジーニアンモナイトの脳を使用するらしい。予め用意されていた魔線花から作った魔力導線...現実世界では多分普通の導線みたいなものだと思う。魔力を通すためのものだね。それをキングジーニアンモナイトの脳に錬金術で接続する。これで脳は完成だ。ちなみに、腐卵花から作られた防腐剤を塗っておくのを忘れない。
次に魔力貯蔵庫。その名の通り、ゴーレムの魔力を貯蔵するためのものだ。これには魔力を貯めておく能力を持つミッドナイトリッチの心臓にマッチョ草とそこから体全体に魔力を供給させるための魔力導線、そして防腐剤を使う。これも制作過程は簡単なので簡潔に言うと、同じ能力を持つミッドナイトリッチの心臓とマッチョ草を錬金術で組み合わせると、魔力貯蓄量が膨大に増えた魔力貯蔵庫ができる。そこに魔力導線を接続し、防腐剤を塗るだけだ。
「ふぃぃ...次は魔物の骨で骨格を作る作業だな。」
ドールスさんは人型の骨格を作るためにわざわざ人体の構造を学んだそうだ。それを活かし、現実世界にもあるような人型の骨が出来上がった。ちなみに、頭蓋骨は人の頭よりも大きな骨を削り出して作られた。そして、それらを組み合わせ人型にする。繋がっていない関節の部分にドールスさんが用意していた鉄の部品(滑らかに動くようオークの油、オイール草から作られた潤滑油塗布済み。そして防腐剤塗布済み)を錬金術で接続することによって人のように関節を曲げれるようになった。
「...よし。ちゃんと入るな。」
先程造った司令塔と魔力貯蔵庫がきちんと骨格の中に入るかどうかを確認したあとはドールスさんがどこからか取り出した綿を詰めていく。もちろん防((以下略
「この綿はな。撃取花とスライムジェルを織り交ぜたものだ。どちらも衝撃を吸収するものだから、外からの衝撃を完全に吸収...とまではいかんがそれなりに吸収する。戦闘でも役立つと思うぞ。」
「「おぉ!」」
もはや「おおー」しか言えなくなっている私たちを置いて、ドールスさんは次の作業に取り掛かる。
次は魔力導線の接続だ。司令塔と魔力貯蔵庫を設置したら、それらを魔力導線で接続する。曰く司令塔は魔力が無いと働かないとの事。これで体の内部は完成かな?あ、魔力貯蔵庫の方に着いてる魔力導線は骨格を覆う綿の外に出しておく。これからまだ繋ぐらしいからね。
「なぁアヤネ。」
「ん?」
「自分の持っている鉱石の中で使ってもいい鉱石を出してくれないか?」
「分かった。」
ドールスさんに言われ、とりあえずあるものを全て出した。...イベント報酬であるオリハルコンも。
「おぉ!!これはゲイザアイアン合金!!私じゃ造れなかったから実物を見るのは初めてだ!!お!ちゃんとミスリルもあるのか!すごいぞアヤネ!」
「え、あ、ありがとう?」
キャッキャウフフとはしゃぐドールスさんに困惑し、目が点になる。隣のすずも同じようだ。
「む?隣のこれはなんだ...?」
ドールスさんはミスリルの隣にあった黄金色の金属を手にする。
「それはオリハルコンだよー。」
「............なんて?」
ついに制作開始しましたねぇ...




