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第221話 チンピラ




私たちはアイリスを復活させる為の素材である最後の魔物の討伐のため、異形の森に来ていた。異形の森は相変わらずと言っていいのか、骨だけの魔物や骨に少しだけの腐った肉がくっついている魔物などがいた。そして極めつけは手だけの魔物だ。アイツも進化しているのか、手が4本くっついているのを見かけた。少しだけ気持ち悪い...。



「ここって前私たちが来た場所じゃん?」

「うん。そうだね?」

「その何だっけ?マユーレー...だっけ?前見なかったけど本当にいるのかなぁ?」

「た、たしかに....。」



すずにそう言われ、ハッとする。たしかに前ここを通った...と言うよりはさまよっていた時には見かけなかった魔物だ。ドールスさんから貰い受けた紙にはちゃんとこの異形の森を指し示しているため、本当だとは思うが...。



「なにか特殊な条件でもあるのかな?」

「マユーレーって幽霊の魔物でしょ?だったら夜とか出やすいんじゃない?」

「あ、それもそうかも?」



マユーレーは漢字にすると魔幽霊だ。すずの家で見たテレビ番組に『見えちゃった〜』とか『心霊映像百発』とかあったけど、そのどれもが幽霊は夜に出現していた。まぁ本当なのかは分からないけどね。

でも、そういうイメージがあるのだとすれば、運営さんも夜に出現させる...と思う。



「じゃあしばらく野営?」

「そうなるね〜。...あやと野営か〜。ふふっ。楽しみだなぁ...。」

「?」



すずがなにか言っているが、無視してテントを立てる。このテントはすずが買った物で値段も結構するらしい...。その分寝心地は素晴らしいものなのだが...。



そうワイワイと野営の準備を整えていた時の事だった。




「おうおうおうこんな所で野営の準備たァ...随分とまぁおもしれぇことしてんなぁ??」



見るからにチンピラなチンピラが10人ぐらい森の奥から現れた。なぁんかどっかで見たような顔ぶれがいるなぁ...?


ざっと見てみると、知らない顔のやつらはニヤニヤしていて、見知った顔のやつは私たちを見て顔を真っ青にしていた。



「ちょ、ちょっと俺...ボスんとこかえるわぁ...。は、はは。」

「お、おい。何お前だけ逃げようとしてんだぁ...?お、俺も帰るぜぇ...?」



見知った顔のやつらは震え声で何かを呟くと、脱兎のごとく背中を晒して逃げ出した。



「あ、おい!...ったく。これだから歳だけ食った無能共は...。なぁそこの嬢ちゃん達。イイもん置いてってくれたら見逃すかもなぁ?」

「「......。」」



私たちは2人して無言になっている。だが、その無言は互いに違うものだった。私は相手に作戦がバレないよう無言ですずに合図しようとしていたのだ。だがしかし、すずはというと体全体を小刻みに震わせながら俯いている。



「おい。聞いてん───」

「《サンダーニードル》」



───ビリリ...ハヂンッ!!



「ガッ!?」



言いかけた男の半径3m圏内に無数の電気でできた針が現れ、同時に男に襲いかかった。全身を貫かれた男はあっという間に光となった。



「なっ!?」

「お、お前!何を!?」


「...私とあやの邪魔をする者は全て消し炭にしてくれる...。《サンダーフィールドバースト》!」



───ピリリリリ......バヂヂヂヂヂヂヂッ!!!!



「「「「「「ギャァァァアアァアァァアア!!!」」」」」」



すずの魔法により真っ黒に染まった男たちは程なくして光となる。いやぁ...やっぱりすずは怒らせると怖いねぇ...あはは...。



「さ。夜まで待とうか!」

「う、うん...。」



こうして私たちはマユーレーが出現するかもしれない夜まで待つことになったのだった。



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