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番外編 海を統べる者の苦労②




『ァガガガァァア!??!!!?......こ、こは...?』



水の中でもがき苦しんでいるメルフォーズ。無事に状態異常が打ち消され、正気に戻ったようだ。良かった...。もしこのスキルをもってしても打ち消すことができなければメルフォーズは私を敵と見なし、攻撃してきただろう。まったく...肌から真水が出そうな気持ちだよ...。




『あな、た...だぁれ?』

「ん?私か?私は絶海皇マリエスタ。この海を統べる者だ。」

『ぜっ、かいこー...マリエシュタ...?』

「マリエスタだマ・リ・エ・ス・タ。」

『マリエスタ...。』

「うむ。それで?なんでお前はこんな所にいるんだ?」



現在私たちがいるのは深海8000m。海底にデカい穴が空いてたから奥まで来てみるとメルフォーズがいたんだよな。スライムは普通海に近づこうとしない。なぜなら水分が吸い取られるからだ。この原理は地上にいるカエル、ナメクジとかいうやつと同じだな。そんなやつがなんでこんな所にいるのか誰だって気になるだろう?



『私...は、シュリと会って...キオク...無い...。』

「むぅ...。これじゃあどうやってあやつを取り込んだのか分からんなぁ...。」

『僕...これ、からど...すれば...?』

「んん?一人称が定まっておらんようだな?」



”僕”というのはおそらくメルフォーズの方の一人称だろう。あやつは会話でよく”僕”という一人称を使っていた。ならば、”私”というのはメルフォーズを取り込んだスライムの方の一人称だろう。今目の前にいるドロドロになっている翠色のメルフォーズは男だったはずのメルフォーズとは違い、心做しか女のように見える。それもかなり美少女だ。



『じゃあ...ボク、で。』

「うむ。若干だがメルフォーズの方が上なのか。まぁいい。ここにいてもなんだから私に着いてくるか?」

『!...いい、の?』

「あぁ。姿形の維持や力の制御、後は言葉だな。私の持てるものを全部お前に教えてやる。」

『......で。』

「ん?」

『なん、で...ボクに、そこ...まで...?』

「私とて鬼畜ではない。自分で見つけといて見捨てるなんて私自身が許せない行為だ。それにお前が取り込んだメルフォーズは私の旧友でもあったからな。」

『あり...あとう。』

「そこはありがとう...だな。」

『...ありがと、う。』

「うむ。どういたしまして。さぁ行くぞ私の家に。」

『う、ん。』



私は水圧で動けなくなっているメルフォーズ...いや、こいつはメルフォーズではないな。うーん...。メルでいいか。メルの周りの水を操り、水の抵抗を無くす。これで自由に動けるはずだ。


いくらステータスが高かろうと、その力に慣れていなけばそのステータスはただのゴミでしかない。それも含めて訓練させなければな。



「その為にもまずは泳げるようにならないとな。」

『うぅ...。』



元がスライムなだけあり、泳ぐのが苦手なようだ。こりゃしばらくここから動けなさそうだなぁ...。



─────────


それから数日後。


私は少しずつだが泳げるようになってきたメルと共に家路についていた。長かったなとは思ったが、特に不満もない。元より私は長命種だ。のんびり生きてればいいのだ。あ、もちろんメルの泳ぎの練習に付き合っていた時も海の確認も怠らなかった。


だけど、強いて不満を挙げるのならば、私が不在の家にアヤネが来たことだ。もうちょっとメルが泳げるのが早ければアヤネと遊べたのにと考えてしまう。まぁ今度でいいか。




そうしている内に、やっと家に着いた。ここからメルの特訓が始まる...




これで番外編は終わりですね。次回は彩音たんと涼香さんが異形の森に着いたところから始まります。

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