第220話 ちょっと寄り道?
「「こ、これが...?」」
私たちが囲んでいる机の上には、ついさっきキングさんが創造したばかりの新鮮な脳が置いてあった。...なぜか大きな瓶に詰められた状態で。
「ワシとドールスの間には契約があるのじゃよ。」
「あ、もしかして...」
「そうじゃ。ドールスの魔力が込められたクッキーの対価にワシの脳をあげてるのじゃ。さっきも言ったが、ワシの脳の創造にはドールスの魔力量の半年分じゃからな。残りの半分でこの海底都市の魔法を維持しとるのじゃ。もちろんワシの魔力量はドールスよりも遥かに上じゃが、設備維持には追いつかなくてのぉ...。」
「なるほど...。でも他のジーニアンモナイト達に手伝ってもらったりできないんですか?」
「残念じゃが、この海底都市に使われている魔法はワシ以上の知能を持つ者にしか理解できないようになっておるからの。いくら他の者に教えても理解できないのじゃよ...。」
「そうだったんですね...。」
「それじゃあ教えてもらうってのは無理だってことなの...?」
「教えること自体は可能じゃ。じゃが、理解出来るかどうかはまた別の話ってわけじゃな。」
「じゃあ私に!私に教えてください!!」
「すずったらもう...。」
目をキラキラと輝かせて教えを乞うすずはとっても、とーっても可愛いけど、その相手はこの海底都市の王様だよ?その態度はちょっと...。
「ふぉっふぉっふぉっ!良いだろう。そこの絶海皇マリエスタ様に認められた者よ。少々ここで待っておれ。」
「あ、分かりました。」
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──数分後──
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「あんなん無理じゃん...。」
「お疲れすず。」
「ぁぁぁぁ!!彩音成分ッ!!すぅぅはぁぁすぅぅはぁぁ!!」
「ちょっ!?すずぅ!!く、くすぐったぃぁぁあ!?!?」
「何なのよあれはぁぁ!!まるで永遠に続くパズルじゃない!!」
「言い得て妙じゃな。」
どうやらすずは全く理解できなかったようだった。全く歯が立たなかったことに萎えたすずは私にベッタリくっついて甘えてきてる。こんな状態を人様(?)に見せられたものじゃないため、帰ることにした。
「ふぉっふぉ。また気が向いたら来ておくれ。」
「はい。ありがとうございました。」
「うぅぅぅ...。」
アイテム扱いされたキングジーニアンモナイトの脳をインベントリに入れ、潜水艦に乗り込む。次に向かうのは前にPK関連で色々とあったあの異形の森だ。ここから北に真っ直ぐ行けば着くんだけど、その通り道にマリエスタさんが住んでいる神殿がある...はず。ヨイチマルさんの地図...海図?と照らし合わせると多分あると思う。ひとまずそこまで行ってみよう。
──ガタンッ!!
そうして大きな音を立てて、潜水艦は発進した。ちなみに、途中でログアウトしたので、次の日に持ち越しだ。
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「あ、あれ...だよね?」
「そ、そうじゃない?」
2人して気まずそうにマリエスタさんがいるであろう神殿...だったものを見る。多分というか恐らくというか確実に私が龍化したせいで崩壊したのだろうその神殿は無惨にも柱しか残っていなかった。そして、近寄ってみるも、この神殿の主であるマリエスタさん本人がいなかった。...どこかに引っ越したのだろうか?
「うーん...。引っ越したとして...今から探すのも違うよね...。」
「そうだねぇ...。まずはアイリスが優先だよね。」
久しぶりにマリエスタさんに会えると思って寄り道したけど、引っ越した上、その場所が分からない。そうなればもう会う手段はない。
ひとまずここはアイリス優先で私たちは異形の森へと向かったのであった。
次回はあの方の番外編です!




