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第216話 珍しいタイプの魔物




「...ォォオ!!!《ダークバックラー》」

「はぁぁあああ!!!」



───ジュゥゥゥン......



ジワジワとミッドナイトリッチの前に現れたのは黒い膜。さっきのすずの《サンダーバリア》と同じような膜なので、防御魔法だろう。



「そんなもので止められると思うなッ!!」



───《刀堂流刀技・朧月》───



───ッ.........



一瞬だけ辺りの時が止まる。



「...ォォ、ォ...?」

「...。」



──チンッ...


──ドサッ!



下から斬りあげた迷いのない攻撃により、防御魔法はもちろん、その先にいたミッドナイトリッチの体を半ばから切断した。防御魔法が少し硬かったが、それも止まる時の中で無数に攻撃したことにより崩壊した。ミッドナイトリッチも同様だ。



「ぐっ...。...ふぅ。」

「あや...?」



急にズキズキと痛み出す頭を抑えながらすずを見ると彼女は呆然としていた。それも当然だ。何せこの技は師匠の他にルーナさんにしか見せていない。初見だと急に私が消え、現れたと思ったら相手が死んでいるみたいな感じに見えるだろう。



「ちょ、ちょっとだけ休ませて...?ぉぇ...。」

「う、うん...。」



すずに膝枕をしてもらい、休憩する。本当に《刀堂流刀技・朧月》は私にとって少しだけ危険な技だ。これは師匠から2週間に1回程度まで使用していいと言われた技で、それ以上は頭に激痛が走り、吐き気に苛まれる。前に使ったのがルーナさんと一緒に倒したウォータードラゴン戦の時。そこからまだ2週間も経っていない。

そのことをすずに話したらしばらく寝てろと言われた。寝顔を見られるのが恥ずかしいのですずも一緒に寝よって言ったらすずは凄まじい速さで横になった。これで抱き枕ができた。




────────

─────



暫くして...。


寝たことにより、気分がスッキリした私たちはミッドナイトリッチの死体をインベントリの中に入れ、ダンジョンから出た。



次に向かうのはジーニアンモナイトがいるナギフの海域だ。ナギフの海域に向かうためには船が必要なので一旦ドールスさんの元に帰ることにする。




「ジーニアンモナイトってジーニアスとアンモナイトを組み合わせた名前だよね?」

「うん。」

「天才なアンモナイトって面白くない?」

「そうだねぇ...すごく頭がいいのかな?」

「それに天才繋がりでナギフの海域ってナチュラルギフトの略だよねー。」

「あ、確かに。」



帰る途中、すずがジーニアンモナイトとナギフの海域の名前について話した。確かにどっちも天才って言う言葉から来ている...と思う。だとしたら次に向かう場所は結構危ない場所なのでは?だって天才な魔物がいるってことだからね...。これは気をつけないと。


────────

──────


「ん?船がほしい?あぁジーニアンモナイトか。」

「はい。」

「ならこれで行け。」



そう言って奥から引っ張り出されたのは小型の潜水艦?だった。人が3人ぐらい入れそうな潜水艦はしっかりしていた。



「あ、これ。とりあえずこれだけ素材集めて来ました。」

「おぉ!早いな!こりゃ作業が捗る!...2人とも私の部下にならないか?」

「ありがたいですが...。」

「むぅ....。また気が向いたらでもいいからな。いつでも募集中だぞ。」

「は、はい。」



「そうそう。ジーニアンモナイトには手を出すでないぞ?」

「え?何でですか?」

「ジーニアンモナイトは頭がいいのだ。襲ってこない相手には攻撃しないし、何か物を渡せば対価に何かをくれる珍しい魔物だからな。」

「えぇ!?そんな魔物がいるんですか!?」

「そうだ。魔物にしては珍しいのだがな。これを持っていくといい。」



ドールスさんが出したのはクッキーのような円盤...って本当にクッキーだこれ!?



「な、なんでクッキー...?」

「言っただろう?ジーニアンモナイトは物を渡せば対価に何かをくれると。」

「え!?でも必要なのはジーニアンモナイトの脳...ですよね?」

「うむ。ジーニアンモナイトは人類よりも遥かに魔法の扱いに長けておる。人間の言葉を理解して話せるし、自分の脳の複製なんてのもできる。」

「す、すごい...!」



ジーニアンモナイトが人間よりも遥かに魔法に長けているという言葉を聞いた途端、今までボーッとしていたすずが急に目を輝かせた。これは多分ジーニアンモナイトに魔法のことを聞くと思うなぁ...。




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