第214話 ミッドナイトリッチ
次の日
「スライムジェルとオーク油は手持ちでなんとかできるとして...あ、あと何かの魔物の骨は本当になんでもいいんだったら沢山持ってるよね。」
「ミッドナイトリッチの心臓、ジーニアンモナイトの脳、マユーレーの霊体はそれぞれ...真夜中のダンジョン、ナギフの海域、異形の森にいるのか...。」
「うわぁ...真夜中のダンジョンとナギフの海域はここから近いけど、異形の森ってあそこだよね...。」
「そうだね...あの足が沢山あった...。」
「さ、最後にしましょう!」
「ん?すずがそう言うなら...」
異形の森はガンヴァント国のセルカディアの近くにある異形の魔物が住まう森。他の素材は比較的ここから近い場所にあったのだが、マユーレーだけは異形の森という遠く離れた場所にいるらしい。すずの言う通りマユーレーを1番最後に回して、他の魔物から倒していくことにする。
「じゃあまずはシクサリオンから1番近い真夜中のダンジョンに行こっか。」
「うん。」
シクサリオンを出て、北に進む。暑さも和らぎ、木が少しずつ増えていく。そんなこんなでようやく森に着いた私たちは西に向けて進み、目的地に到着した。
「ここが真夜中のダンジョン...。」
「今はちょうど昼だけど名前的に入ったら真っ暗になりそうだよね。」
「そうね。(はっ!これははぐれないようにという大義名分で手を繋ぐチャンス!?)」
「すず?どうしたの?」
「あや!」
「ひゃいっ!?」
急にボーッとしだしたので顔を覗き込むと、これまた急に大声を出てきたので驚いてしまった。
「もし中が暗かったら手をつなごう!!」
「え?なんで?」
「はぐれたら大変だから!」
「あ、確かにそうかも...。じゃあ暗かったら手繋ごうね。」
「ま、任せてよ!」
何故か気合いの入っているすず。変に思いながらダンジョンに入ると、中は明るいけど真夜中って感じだった。ひたすらに続く平原にポツポツと生えている木。月明かりが照らしているために木が少ないここは結構明るかった。
「明るい...。」
「そうだね。でも...」
──ギュッ...!
「まだ魔物もいないししばらくは手繋ごう?」
「......うん!!」
露骨に残念そうにしていたすずに私は手を繋ごうと言い、手を差し伸べた。するとすずは感極まって泣きそうになりながらも手を繋いでくれた。ちょっと気恥しいけど、これはこれで悪くない気もする。まぁ昨日も強引に繋がれたから慣れてるのかもしれないけどね...。
「「ふんふんふーん♪︎」」
2人で知っている曲を歌いながら平原を歩き続けた。それにしても本当に何もない。人工物もなければ、魔物もいない。小動物や虫などの気配も感じられない。
「ふんふふん...ふん?」
「ふんふふん......どうしたの?」
「あれ...。」
しばらく歩くと突如真っ黒のローブを纏った何かが現れた。まるで最初からそこにいたかのような感じだったが、ここは何度でも言うが平原だ。遠くから見つけられないということはない。だとしたら何か魔法でも使ったということになる。
「《鑑定》」
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【名前】ミッドナイトリッチ《BOSS》LV.150 状態:正常
【弱点】心臓
【苦手属性】なし
【説明】ブライトニングリッチ、トワイライトリッチと対を成す魔物。朝日を嫌い、常に洞窟に隠れ続けているうちに1人になってしまった。明るいのを極端に嫌うため、自身の洞窟を真夜中のダンジョンに変えてしまう。そして、この魔物の周囲には誰もおらず、ただひたすらに仲間を待ち続けている。STRが全く育たない。
HP:54356/54356
MP:184210
STR:213
VIT:12140
DEF:12410
AGI:14257
INT:19437
DEX:18437
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「「「......。」」」
なんか悲しいな...。




