番外編 ある男(?)の独白
──チーかまside
「ははっ...やっぱり強いや...。けホッ...!」
僕は地面に伏しながら去っていく女の子2人を見つめ、呟いた。やはりスズカさんは強かった。僕も色んな手を使ったが、どれも大した効果を発揮せずに終わってしまっていた。僕は手の動きだけで術を発動できる。皆詠唱して魔法やらを発動するから僕のこれは大きなアドバンテージだと思っていた。しかし、それをスズカさんは見破り、敢えて見せつけるかのようにあの得体の知れない地雷を最善手...つまり僕にとって都合の悪い場所に仕掛けてきた。そうしてどんどん為す術がなくなっていった僕はやられてしまった。
「...これで諦められたか?」
「タクト...。」
しばらくボーッとしていると、このゲームを一緒に始めた僕の親友であるタクトがやってきた。王都でアヤネさんとあった時も少し遠くからこちらの様子を見ていた彼は今回も同様に野次馬に混ざって試合を見ていたのだ。
「そうだね...。やっと諦められたよ。」
「...そうか。ほら。」
タクトはそれ以上何も言わずに、僕の事を起こしてくれた。
僕は彼女...アヤネさんのことが好きだった。いわゆる一目惚れとかいうやつだ。王都で見かけてからずっと心の中で彼女の事を想っていた。そんな僕に、親友であるタクトが気づかないはずもなく「アヤネさんは止めておけ。スズカさんと相思相愛だろう。まぁアヤネさんの方はまだ曖昧っぽいけどな。」と言ってきた。そんなことは僕にも分かっていた。分かってはいたが...どうしても諦めきれなかった...。
それからというもの、諦めきれなかった僕は必死になってレベル上げを頑張った。さすがにトッププレイヤーとまでは行かないが、中堅ぐらいまでは行けたんじゃないかなぁって僕自身そう思っている。まぁそう思っているだけであってそうとは限らないけどね...。
そして運命の日である今日。結果は当然分かりきってはいたが、僕は仲睦まじい様子の2人に声をかけたのだ。
──自分の恋に幕を閉じるために...
───────
「ありがとう助かったよ。」
「おう。気にすんな。」
「...スズカさんには強い意志を感じたよ。」
「...そうか。」
「彼女ならきっとアヤネさんを幸せにすることができると思う。」
できるならそのポジションは僕がよかったけど、さすがにあそこまでイチャラブしてたら、ねぇ...?今回の件は完全に僕に非がある。僕の恋を諦めるためにという勝手な理由で2人に迷惑をかけたからね...。せめて願おう。彼女たちが幸せでいられますように...。
「......なぁ。」
「なぁに?」
僕の隣を歩くタクトが少し前に出て、こちらに振り返る。
「...俺じゃ、ダメなのか...?」
「...。」
まさかの展開である。驚きすぎて言葉がでない。
「小さい頃からずっと千尋...お前だけを見てた。」
「...。」
「お前に好きな人が出来たと聞いて俺は胸が痛くなった。それがあのアヤネさんだっていうから驚いたぜ。...そんなお前を応援したいという気持ちもあったが、あれは無理だって嬉しく思ってもいた。」
「...。」
「こんな俺最低だよな...。」
「最低なんかじゃない...!」
「ははっ...だけど、それぐらい好きなんだぜ?」
確かにタクトはイヤイヤ僕の特訓に付き合ってくれていた。それがまさか僕のことが好きだからという理由だとは思わなかったけど...。それでも彼は僕のことを応援してくれた。
「でも...やっぱり僕は応えられないよ...。」
「どうしてだよ!」
「だって!それじゃタクトに申し訳ないもん...。僕の悲しみを──」
「──悲しみを俺で埋めることになるって思ってるのか?」
「ぅ...うん。」
「はぁ...。千尋はアヤネさんのことを諦めたんだろ?」
「え?うん。」
「じゃあそれでいいじゃねぇか。」
「...。」
そういってタクトは僕を抱きしめ、頭を撫でる。
「それにそれを言うなら俺もなんだぜ?」
「...?」
「失恋したやつを慰めてあわよくば恋人になろうとしてんだもん。...そう考えたらやっぱ俺最低じゃね?」
「...ううん。そんなことない。僕嬉しかったよ...?」
「そ、そうか。そりゃよかった...。...そろそろ行こうか。」
「うん。」
「「俺(僕)達の家に!」」
こうして僕達は2人して赤くなりながら手を繋いで王都に向かったのだった。
「あ、そこの見てるやつら!僕達はホモじゃないぞ!」
「「「バレたっ!?」」」
陰でこちらをじっと見ていた先程の野次馬達に怒鳴る。勘違いされても困るしね。
なんたってこんな見た目してても...
────僕は女の子だから。
まさかのボクっ娘...。
それと書いてて思ったんだけど、女の子っぽい男の子は男の娘って言うけど、逆ってなんて言うの...?やっぱり男の娘?




