第210話 スズカvsチーかま②
「《サンダーフィールド》《サンダーマイン》《サンダーマイン》!」
「スキあ──ぎゃあッ!?」
「《サンダーボルト》!」
───バヂヂッ!!バヂンッ!!
「ぐぁぁぁっ!!??」
すずの近くに仕掛けていた地雷を踏んだために、素早く動いていたチーかまくんは一瞬動きを止めた。そのスキをついて発生が早い《サンダーボルト》を撃ち込む。
「この調子で...!《サンダーマイン》《サンダーマイン》!」
「次はそうは行きませんよ!《風遁の術》!」
ならばとチーかまくんは自身の足に風を集め、地面から数十cmだけ浮かぶ。これで地雷を踏む心配はない。...いや、正確には踏んでるんだけど、効果がなくなったと言うべきか...。前にすずが自慢げに言ってきたんだけど、すずの《サンダーマイン》は近づいた動物の魔力...つまりMPに反応して発動するんだとか。だから数十cm離れていても、それだけ近づいているのだから発動はしている。だけど当たっていないからダメージは入らない...といった感じだね。
「...なら。《サンダーストライクマイン》《スタンマイン》《サンダーストライクマイン》《スタンマイン》《スタンマイン》」
「むむっ!?なんか詠唱が長くなった...?」
すずはこれに対し、いつぞやにも使った合成技を発動。これは《サンダーストライク》と《サンダーマイン》が合体した技だね。踏むと《サンダーストライク》が飛んでくる。ちなみに、踏んだ瞬間に離れても2mくらいは当たる。
《サンダーフィールド》によって発生した足元の電気ピリピリにより、地雷を仕掛けた箇所の電気ピリピリがかき消され、見えにくくなっているためにチーかまくんは攻めあぐねているようだ。まるで一種のゲームのようだ。見えない地雷を避けて要塞に籠城する敵を倒すゲームかな。いわゆるくそげーってやつ?まずくそげーの定義が分かんないんだよねぇ。私のクラスの子がくそげーやってるって言ってただけだもん。だからどこまでがくそげーなのか分からない。
「おいおいチキってんのかぁ!?」
「おう勇者頑張れや!!」
「勇者?あぁ...。確かに勇気あるよな敵だらけなのにわざわざ自分から...。」
「早く攻めなさいよ!!」
「貴方達さっきと言ってること違いませんか!?」
飛んでくるヤジに対し、キレるチーかまくん。まぁ確かに違うよね。さっきはすずに攻撃するなとか言ってたのに今度は攻めろと...。うーん...なんとも言えない。
「えぇいままよッ!!」
──バヂヂヂヂッ!!!バヂヂヂヂッ!!!!
自慢の速さを活かし、地雷が発動する前に有効射程外に出るチーかまくん。確かに《サンダーストライクマイン》は《サンダーマイン》よりも発生が遅いから避けれないこともない。だけど...
「ふっ!やっ!はっ!──ガぁッ!?」
──ピリッ...バヂヂヂヂッ!!!
仕掛けていたのは《サンダーストライクマイン》だけではない。《スタンマイン》はその名の通りスタン...気絶させる為の地雷で発生は凄く早い。気絶状態はほんの一瞬で、普段は役に立たないらしいけど、《サンダーストライクマイン》はその一瞬だけあれば十分なのだ。
一瞬惚けたチーかまくんを襲ったのは辺りから電気を吸い取り、自身の攻撃力とした《サンダーストライク》。チーかまくんは呆気なく撃沈したのだった。
「さてと!邪魔者もいなくなったからもう行こっか!」
「う、うん...。」
未だ黒焦げになっているチーかまくんを他所に、私たちはシクサリオンへと向かったのだった。




