番外編 スズカさんの試練の塔チャレンジ②
「お!あそことかよさそうっ!!」
「ギャァァァ!!!」
「ギャッギャッ!!」
「ギャァア!!」
「ギャアギャア!!」
いつの間にか増えているロックゴブリンの群れを引き連れ、森を駆け抜けること15分...ぐらい。ちょうど木が密集している場所を見つけた。そこはゴブリン達が同時に通り抜けられないほど狭い。
「《ロック・ウォール》!!」
私が通り抜けたところに岩壁を張り、周りの木に繋げるように壁を広げていく。最終的にゴブリン達を囲めた。ゴブリン達は木や他の仲間に引っかかって動けなかったらしい。そのおかげで、ゴブリン達の足止めができた。
「《ディグ・ホール》《プロテクション》《ソイル・オペレーション》」
次に岩壁のすぐ近くに大きな穴を掘り、その穴を覆うように防御魔法を張る。そして、その上から掘った土で覆いこれで落とし穴の完成だ!
あとはこちら側だけの壁を元に戻し、ゴブリン達と対面する。
「ギャッ?ギャア!!」
「ギャアァァア!!!」
「ギャァッギャァア!!」
岩石でできた棒を振り回しながらこちらに猛突進してくるゴブリン達。だが...
──パリンッ...
「ギャッ?」
───ドグジャァァアッ!!!
「ギャァァァア!?!!?!?」
「ギャギャッ!?!!」
「ギャァッ!?」
皆して仲良く穴に落ちた。前の仲間が落ちたのを見て、立ち止まったゴブリンもいたが、後続からのゴブリンに押され、落ちてしまった。そして、最後に上に残ったゴブリンはたったの3匹だった。
その3匹のゴブリン達は必死に仲間たちを助けようと手を伸ばしていたが、絶妙に届かない程度に掘ったのでもちろん届くわけが無い。...なんか私が悪者みたいじゃない...?
「《ロック・バレット》」
「ギャッ!?」
「ギャァッ!?」
「ギャギャッ!?!!」
穴を覗き込んで、こちらの注意を疎かにしていた3匹のゴブリン達の頭に岩の玉を当てて、落とした。
「ギャアギャアッ!!!」
「ギャッ!!」
穴の中からこちらを睨め付けるゴブリン達。ここで一つだけ豆知識。”ロック”という魔物は例外なく皆泳げないのだ。ん?何やるか分かったって...?
「《レイン》《ウィンド》」
通常なら広範囲にわたり雨を降らすこの魔法だが、風魔法と併用することにより、特定の場所に雨雲を集め、超局所的な大雨にすることができる。
「ギャッ!?」
「ギャアギャア!!」
少しずつだが溜まっていく水に危機を感じたのか、先程よりもうるさくなるロックゴブリン達。残念だが、君たちはここでおしまいだ。
ゴブリン達の断末魔をバックに、私は探索を再開したのだった。
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「ん?階段が黒くなった...?」
探索開始から2時間程度。階数にして10階進んだら階段の色が白から黒になった。結局あやにも会わなかったし、なんならその他のプレイヤー達とも会わなかった。
よくよく考えてみればわかる事だった。なにせ試練の塔である。試練なのに他の人がいていいのか。ダメに決まっているだろう。もちろん試練といっても様々な形があるから一概にそうとは言えないけど...。
「...10階だから...区切れ目的な?」
キリのいい数字である10階だから階段がくらいのか。よく分からないが、何となく黒い下り階段から威圧を感じたので慎重に、そして覚悟して降りていった。




